皆さんは普段の日常生活の中で日本の文化を感じることはありますか?
実はあなたの家にも身近な伝統工芸品が近くにあるかもしれません。例えば「こけし」です。
お土産品としても「こけし」は、海外からの旅行客からも人気があるものなんです。今回はそんな「こけし」の由来を紹介します。
こけしとは
出典:写真AC
「こけし」は日本の伝統文化の一つです。その形はとってもシンプルで球形の頭部と円柱の胴だけという姿をしています。どこか懐かしさを感じてしまいます。
伝統的な「こけし」は産地によって違いがあり、独特な表情や模様、そして胴の形などにそれぞれ特徴があり、違いがあります。シンプルイズザベスト、じっと見ているとなんだかかわいく見えてきませんか?
こけしの由来
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こけしはもともとは木製玩具であり、東北地方の温泉地の土産品として売られるようになりましたが、現在では東北に限らず全国各地で土産品として扱われています。その由来は諸説ありますが、江戸時代の終わりの頃に誕生したとされています。
当時の日本は国民の約9割が農民でした。「こけし」が東北地方から登場した由来は、寒い東北地方の人たちとって湯治(とうじ)が非常に大事な行事だったことに由来があります。湯治(とうじ)とは、厳しい農作業の疲れを癒し、農民同士の親睦を深める為のイベントであり、年中行事のひとつでもありました。
真冬の最も寒い時期の「寒湯治」、田植えが終わった後の「泥落とし湯治」、夏の暑い時期の「土用の丑湯治」など、年に2、3回は湯治を行い気分転換をする習慣が次第に根づいていき、その湯治客の土産として定着していく中で「こけし」が誕生したのが由来です。
当初の「こけし」の役割は、「おもちゃ」でした。小さい女の子がおままごと遊びをする時の玩具として使われていたのです。おもちゃとしての用途は明治時代の終わり頃まで続いていきます。その後時代が変わり大正時代になると、おもちゃ自体の材質も木材以外の様々なものが扱われるようになり、おもちゃとしての「こけし」から、他のものへと移っていったのです。
こどものおもちゃとしての役割を保つ一方、大人の鑑賞物やコレクションとしての需要が増していきました。そのような背景から「おもちゃ」から「鑑賞物」へとその役割を変えることになったのです。
有名なこけしの産地
全国的に有名な「こけし」の産地として宮城県大崎市の鳴子が有名です。「こけしのふるさと」としても知られており、鳴子の伝統こけしは東北有数の温泉郷・鳴子を中心として発展してきた背景があります。
古くから鳴子温泉では、漆器類などの木地業が盛んに行われてきました。そのことから「こけし」が盛んに作られるようになったのです。鳴子温泉の中心街は「こけし通り」と名付けられていて、狭い道沿いには温泉宿とみやげ物屋が軒を連ねており、日本らしい情緒ある風情ある温泉街になっています。
歴史と伝統が息づいた鳴子の工芸品として、「鳴子こけし」は有名なのです。
こけしの作り方
「こけし」はいったいどのような工程を経て作られるのでしょうか?ここでは簡単に「こけし」の作り方を説明していきます。
1.材料となる木材の準備材料となる原木の乾燥から行います。木の皮をむいて6ケ月から1年の間に渡って自然乾燥させます。
2.「玉切り」という作業を行います。サイズに合わせて原木を切る作業です。
3.「木取り」という作業を行います。木の余分な部分を切り取っていく作業です。
4.「荒挽き」、「頭挽き」、「胴挽き」という作業を行います。ろくろを回転させて頭の部分、胴の部分を鉋で削っていきます。ここで「こけし」の姿が見え始めます。
5.「磨き」という作業を行います。サンドペーパー、とくさなどで磨いていきます。
6.さし込み、はめ込みを行います。胴や頭をたたき込む作業です。
7.描彩顔や胴の絵柄を描いていきます。
8.仕上げ最後に仕上げの作業としてロウをひく作業をします。以上で「こけし」が完成となります。
こけしの魅力
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素朴で可憐な表情を見せる「こけし」。その歴史には奥深い由来があります。日本の伝統工芸品として、どこか温もりを感じ懐かしさも感じてしまいます。
そんな魅力ある「こけし」の体験教室など行われているところもあります。自分だけの可愛い「こけし」を作ってみるときっと愛着がわきますよ。興味のある人はぜひリサーチしてみてください。
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