枕詞の「ちはやふる」は何を導くのか?
枕詞とは、言葉としての意味は持たないが、後ろの言葉を導く役割を担う詞のことを指します。そして枕詞はいまだそのメカニズムが明確化されていません。
そんな枕詞ですが、在原業平が詠んだ歌「ちはやふる神代も聞かず竜田川からくれないに水くくるとは」では、ちはやふるが「神」にかかる枕詞になっています。
そもそも「ちはやふる」とは、いち・はや・ぶるをそれぞれを短縮し組み合わせてできた言葉で、意味としては「勢いの凄まじさ」をあらわしています。
「ちはやふる」で話題の競技かるたのルールとコツを紹介
出典:写真AC
さて、ここで紹介した歌人・在原業平や和泉式部の歌も選定されている百人一首。百人一首とは、宇都宮頼綱の別荘「小倉山荘」の襖の色紙型として藤原定家によって選定された100首からなる歌集を指し、江戸時代になると歌がるたとして浸透するようになります。
そして、現代ではちらしどりや源平戦などのゲームとしてだけでなくスポーツとして競技かるたでも親しまれています。
競技かるたでは、100首の半分の50首のみを使いその50首の中からそれぞれ25枚ずつ取ります。そしてその自分の陣の札25枚が早く無くなったほうの勝ちとなります。
例えば敵陣の札を抜いた場合は敵陣に1枚送ることができ、これを送り札といいます。自分の得意札を送ったり、送られてきた相手の狙い札を返したり、戦況に応じて送り札を臨機応変に変えることでスムーズな試合運びをすることができます。
「ちはやふる」でうたわれる恋の歌の魅力
今回ちはやふるを使った代表的な歌として紹介した在原業平の歌は、秋の情景の美しさを詠んだ歌としても激しい恋心を込めた歌としても読むことができます。
つまりその歌の背景を知ることで、歌の見方は変化するということです。このように、歌の持つ意味とは実に奥深さを秘めているのです。その奥深さこそが歌の神髄であり、面白さでもあります。