「ちはやふる」の歌での想い人は誰なのか?
在原業平と恋の相手
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ここでひとつ疑問に思うことがあります。それは在原業平がちはやふるの歌に込めた激しい恋心、その相手は一体誰だったのかということです。その相手とは、公卿藤原長良の娘であった藤原高子でした。
当時、藤原高子は、后として入内することが内定していましたが、周りの反対を押し切り駆け落ちまでしてしまいます。
そのため、藤原高子と在原業平の間に生まれたのが陽成天皇という説があります。結果として駆け落ちはうまくはいかず、高子は内定通りに入内し離れ離れになり、ついに2人の恋は幕を閉じたのでした。
それから時は流れ、藤原高子が屏風に歌を飾る際に在原業平が呼ばれました。その時に在原業平が詠んだ歌が「ちはやふる かみよもきかず たつたかわ からくれないに みづくくるとは」でした。かつての恋人藤原高子と相まみえた在原業平は、一体何を思ってこの歌を詠んだのでしょうか。
単なる秋の情景を詠んだだけなのか、あるいは、忘れえぬ彼女への激しい恋心を詠んだのかもしれません。
在原業平だけじゃない!和泉式部が詠んだちはやふるの歌
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ちはやふるといえば、実は在原業平の歌のほかにもちはやふるを使った歌があります。そのひとつが「かざさじとたれか思はむちはやぶる神のまれまれ許すあふひをむ」という歌です。
この歌は和泉式部が詠んだ歌で、意味としては「葵をかざさないと誰が思うのだろうか 葵祭を催すこの日だけは神さまが逢うことを許してくれるのに」となります。
「葵」と「あふひ」が掛詞になっているのと、葵祭は神に会う神聖な日のため、葵蔓を頭に挿していると考えられています。