ちはやふるの歌を詠んだ在原業平とはどんな人?
出典:写真AC
ここで、「ちはやふる」の歌を詠んだ在原業平とはどんな人物なのかご紹介します。
在原業平は平城天皇の息子で、平安時代初期に活躍した歌人です。六歌仙のうちの一人で、学はありませんでしたが和歌の才能があり美男子だったといわれています。伊勢物語の主人公のモデルともいわれています。
ちはやふる以外の代表歌
在原業平が詠んだ「ちはやふる」以外の代表歌をご紹介します。
1.世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし
この歌は古今和歌集に入っている歌で、桜の素晴らしさを詠んでいます。
現代語訳としましては「この世にもし桜がなかったら春をのどかな気持ちを過ごせるだろうに」となり、春の季節になると桜があるために人々の心が踊り騒ぐ様子をそのような魅力ある桜の素晴らしさを詠っています。
2.から衣 きつつなれにし つましあれば はるばるきぬる たびをしぞ思ふ
こちらの歌は伊勢物語の東下りと古今和歌集に収録されています。この歌は、都から東国へ旅をした際に寄った三河の八橋で詠われたものです。
八橋を流れる沢のほとりにかきつばたが美しく咲いている様子を見て、和歌の頭文字にかきつばたの文字を入れて在原業平が旅の思いを詠んだ、実に巧みな歌です。
現代語訳は、「着慣れた唐衣のように、長年連れ添った妻が都にいるので、その妻を残したままはるばる来てしまった旅の侘しさをしみじみと思うところです」となります。
3.月やあらぬ 春や昔の 春ならぬ 我が身ひとつは もとの身にして
この歌は「ちはやふる」と同様、二条の妃である藤原高子を思って詠んだ歌です。突然、二条の妃が自分の前から姿を消し、居場所はわかっているものの、身分のために思うままに彼女の元まで行くことができません。
思いを募らせ二条の妃が昔住んでいた部屋に行ってみたところ誰もおらず、過去のことだったと知り、泣いて昔を思い出しながら詠んだ歌とされています。
訳としては、「月は以前とは違う月なのでしょうか。春は去年の春と同じものではないのでしょうか。私一人だけが昔のまま取り残され周りは皆変わってしまった。」となります。