『板前』は、日本食専門の料理人です。日本料理店などで主に和食、大体は懐石料理などの日本料理を作るのがお仕事になります。日本料理独特の出汁の取り方とか刺身や天麩羅などの日本の料理に特化した料理人となります。
味の追求も大事ですが、盛り付けなども非常に日本的な美しさを追求していくプロとなっています。主な働き場所としては料亭などになりますが、最近ではチェーン店の和食飲食店でもかなりしっかりと修行を積んだ板前がいることが多く、なかなかの高給で雇われているようです。
下手に個人経営のところにいくより、チェーン店で調理場を仕切る『板前』をやったほうが稼ぐことができることもあります。さらには海外でも日本食は注目されており、多くの日本食店があります。海外に板前として就職する人もいます。
板前の仕事
出典:写真AC
『板前』の仕事は料理全般になります。また、仕入れも含まれています。仕入先との交渉、或いは食材の目利きなども出来るようになる必要性があります。
最初は皮むきやお皿洗い、配膳などをすることになるでしょうが、その合間に調理技術、目利きを養うことになります。一人前になると立派に一つの料理の工程を負かされることになるでしょう。
ちなみに一人前の『板前』のことを立板といいます。さらには複数の板前がいて、すべてを仕切る人のことを花板といいます。店の前の掃除から仕入れ、実際の調理、接客というのが仕事内容となるでしょう。
最初は簡単なことから始まり、どんどん複雑な工程である調理に進む、ということになるのはどんな仕事にもいえることですが、年単位での修行が必要になります。
板前の気になる年収は?
『板前』の年収はまちまちです。一流のところですとそれこそ1000万円オーバーということも珍しくないのですが、平均でいえば450万円くらいになります。
師弟関係で働く場合、年収は本当に低いです。しかしそこで一人前になれば暖簾わけのような独立であったり、或いは他所のところでも働くことができる技術が身につくので、そこから本格的に稼ぐことができるようになります。
勤務体系ですがシフト制であることも多いですが、料亭などはチェーン店のように休日なしでやっているわけではないので、お店の定休日に休むということが多いです。
福利厚生も勤め先によってまちまちになります。しっかりとしたところは当然、厚生年金とか健康保険などにも加入することができます。
板前になる利点
出典:写真AC
『板前』になる利点とは手に職が付くということでしょう。調理技術というのは間違いなく一生もののスキルになります。それこそ、その料亭が倒産、廃業となったとしても経歴がしっかりとしており、腕前があれば雇ってくれるところはいくらでもあります。
デメリットとしては、『板前』は和食専門ということでしょう。これはメリットにもなり得る専門性ともいえます。また、かなり狭い世界での生活になりますから、多角面的な視野を養いにくいということがあります。
さらに調理技能の訓練が殆どの場合、メインになってしまって飲食の仕事として当然身につけるべき、採算や集客に関する考え方などを身につけることが後回しになることでしょう。しかし、これは個人の努力次第でどうとでもなることになります。
板前に向いている人、向いていない人
『板前』に向いてるというのは正確的にめげない人でしょう。最初はかなりの頻度で怒られ、数年間は下積みになりますから雑用をやることも多いです。
それに挫けることなく、日々、精進を積んでいくことができる人が板前に向いているといえるでしょう。さらに日本料理は味のみではなく、極めて繊細な技術を要するものであり、見た目の美しさもかなり重要視されることになります。根本的に手先が器用である、細かい作業も苦にならないということが重要になります。
逆に向いてない人はすぐに諦めたりする人でしょう。それと日々、いろいろなお店に食べに行って勉強をするなどが、苦になる人は向いていないということになります。
板前の将来性
『板前』は将来がある仕事であるのか、といえばこれはいくつかの意味合いから、板前の将来性はあるといえます。まず、話題になっているAIなどですが、これが発展しても奪われるような仕事ではないです。
料理はあくまで人が作るものであり、その最たる職ともいえる日本食の『板前』には仕事がなくなるということは考えにくいと言えます。
そして近年、世界的に日本食はかなり注目されています。その高い技術が認められる板前であれば将来、海外で働くということも不可能ではないのです。
板前になるために必要な資格
実は調理師免許というのは必須ではないです。しかし、『板前』になるのであれば持っている方が有利となります。
或いは修行をしながら取得するのをおすすめします。そもそも日本料理店などの和食専門店の正規雇用の条件に記載があることが一般的で、大抵は応募条件に調理師免許があります。これは『板前』としての最低限の知識や技術を持っていることの証明の一つにもなりますので、取得しておくに越したことはありません。
基本的に料理に携わる者としては、調理師免許の試験などで求められる知識というのは、知っていて当たり前ということになります。真剣に『板前』になりたいのであればまずは取得するべきと言えるでしょう。
他にもまず取ることになるといえるのが、ふぐ調理師免許です。日本料理ではふぐ料理がかなり出る可能性が高いです。ですから、捌くことができる技術と資格は板前に要求されることになります。
板前が使う道具
出典:写真AC
『板前』が使う道具はいくつもあります。その代表的なものといえば、本焼包丁でしょう。実はいくつか定義があったりするのですが、基本的には鋼のみで造られた包丁です。
軟鉄と鋼を張り合わせていないので、とても手入れが面倒になります。高価なものなので、研ぎを含むメンテナンスも慎重に行うことになります。
しかし、その分、鋭く、美しく食材を捌くことができるとされています。これを扱えるようになってこそ、一人前の『板前』、といわれるほどの道具なわけです。
板前と和食器
板前は芸術的なスキルも必要になります。和食は器にもこだわる必要性がありますし、季節によって使い分けたりもします。食材の色合いに合わせて決めたりすることもあります。色の調和と実用性のバランスを考えることが板前精神の一つと言われています。
芸術的な勉強も求められます。和食器は例えば輪島塗、焼き物であれば萩焼や唐津焼などが有名です。箸置きから、椀物、そして向こう付け用の四方皿、小皿など色々と種類があります。基本的には器は方向性を統一します。
磁器陶器等の食器は、場所や窯元によって雰囲気が違います。そうした知識も『板前』には求められることになります。
職の美を追求するのが板前
食というのは単純に食べることができればよい、というわけではありません。日本食は特に見た目の美しさが重要視されます。四季に合わせて変化させ、自分なりの工夫というのが求められます。
常に切磋琢磨する必要があるのが板前であり、まさに一生をかけて追求することができる職人の世界であるといえるでしょう。衣食住は人間にとってはなくてはならないものであり、その中でも食を美と共に追求していくことになる仕事になりますから、十二分に魅力とやりがいを感じる仕事なのです。
辛く長い道のりではありますが、一生をかける価値がある仕事であり、多くの人が目指しています。
板前の最高峰
板前や日本料理の代表格である寿司。寿司には、4年に一度の全国すし技術コンクールという大会があります。
「盛り込み鮨」「笹切り競技」金賞受賞するなど数々の功績を残している最高峰の板前「に組」が開催する1日すし職人体験に参加して、板前の世界と難しさを体験してみましょう。プランの詳細は下記のリンクをクリック。
全国すし技術コンクール大会優勝経験者から学ぶ 本格細工寿司体験!
割烹とは?料亭とは何が違うの?|かつてはは調理法の名前だった割烹の変遷
寿司職人のなり方とは|気になる仕事内容や寿司職人の一日も紹介