「カツ丼」と聞いて、みなさんはどんなカツ丼を想像しますか?甘じょっぱい醤油味のお出汁が染みたカツとタマネギを、卵でとじてからごはんに乗せたカツ丼を思い浮かべた方が大多数ではないでしょうか。大型スーパーやコンビニに並ぶカツ丼も、卵でとじられた商品がほとんどで、これがカツ丼のスタンダードです。
しかし、このスタンダードなカツ丼が通用しない地域が全国に数か所あることもお忘れないように。
今回は、福島県会津地域で食べられる「ソースカツ丼」の魅力とレシピをご紹介します!
福島の郷土料理「ソースカツ丼」とは
どんぶりご飯の上に敷かれた千切りきゃべつにサクッと揚がったトンカツを乗せ、粘度の低いウスターソースをかけて食べるカツ丼が福島の「ソースカツ丼」です。お店によってカツに使用する豚肉の部位や厚さは違えど、キャベツとソースは必須。
実は、ソース味のカツ丼は全国でもバラバラと幾つかの地域で定番として食べられているカツ丼で、発祥の地域も複数あると言われてます。その中でも、福島県のソースカツ丼は福島県会津若松市にある「若松食堂」で誕生しました。
なぜソースカツ丼が誕生したのかという理由はわからないのですが、卵が高級食材だったその昔、卵でとじるカツ丼よりも当時は安価に手間なく仕上げられることが利点だったのかもしれません。
「ソースカツ丼」のかんたんレシピをご紹介!
〔材料(2人分)〕
豚ロース(トンカツ用) 2枚
小麦粉 大さじ2
卵 1/2個
パン粉 大さじ5~6
塩コショウ 少々
揚げ油 適量
キャベツ 4~5枚
ウスターソース 適量
福島県の中には、ごはんの上に千切りキャベツを敷いた後、ふんわりとした卵焼きを乗せてからカツをトッピングする地域もあるようです。卵のまろやかさも加わり、それはそれで美味しそうですよね。
今回はトンカツ用のロース肉を使用して作りましたが、福島のお店の中には、どんぶりからはみ出さんばかりの大きなお肉を使用しているお店や、地鶏をカツにして使っているお店もあります。お好みのお肉でソースカツ丼を作っても美味しく味わえます。
福島の郷土料理「ソースカツ丼」レシピのポイント
〔作り方〕
1.キャベツを千切りにしておく。肉の両面に軽く塩コショウを振り、下味をつける。
2.小麦粉、溶き卵、パン粉をそれぞれ皿やバットに入れて用意する。油を180度に熱する。
3. 1の肉を小麦粉→卵→パン粉の順に付け、熱い油に入れて揚げる。
4.両面がこんがりきつね色に色づいたら、カツを引き上げる。
5.どんぶりにご飯を乗せ、千切りきゃべつを敷き、食べやすく切ったカツを乗せる。
6.ウスターソースをかけ、完成!
「自分でカツを作るとカツの衣がはがれやすい」というお悩みを抱える人に、ワンポイントアドバイス。コツは、肉に1番目に付ける小麦粉の量!全体にしっかりまぶされていることは必須ですが、たくさん付けすぎないようにすることがコツです。
表面に薄―く小麦粉が付いていれば十分なので、付けすぎたと思った部分があれば手で叩く・ほろうなどして落としてあげましょう。パン粉を付けた後に手で「ギュッ」と抑えてあげると、表面のパン粉もはがれにくいです。
【レシピのポイント】キャベツはお肉より先に触りましょう
料理をするときのコツ、とまではいきませんが料理の手順にも意味があります。衛生面の注意点から、キャベツは肉を触る前に千切りにしておきましょう。
生の豚肉を触った後の手で生のキャベツを刻むと、生肉に付着している食中毒等につながる細菌をキャベツに付けてしまいかねません。
ソースカツ丼として数十分のうちに食べきる千切りのキャベツは細菌がほんの少しつくだけで抑えられても、後日食べようと保存するつもりのキャベツの方は、時間が経つにつれ細菌が繁殖してしまいます。また、冷蔵庫に入れたときの他の食品に菌が移ってしまう「二次感染」も注意しなければいけません。
前もって準備しておけば、カツも揚げたてを楽しむことができます。ぜひ生で食べる予定の野菜の下ごしらえは、お肉を触る前に済ますことを心掛けてください!
「ソースカツ丼」は同じく福島の郷土料理「いかにんじん」と合わせて
ソースカツ丼を福島の定食屋で食べる場合は、お味噌汁が一緒に出てくる場合が多いのですが、今回は同じく福島県の郷土料理「いかにんじん」と共に食卓を飾ってみました。
いかにんじんは、細く切ったするめと昆布を千切りのニンジンと一緒に醤油やお砂糖と漬け込んだ1品です。ご当地メニューを作った時は、同じ土地で生まれ育った郷土料理をおかずに合わせてみるとなんだか落ち着きます。
「ソースカツ丼」はさっぱり美味しい
ソースカツ定食を1つの丼ぶりにまとめたような福島県のソースカツ丼。たっぷりのキャベツとウスターソースの酸味やスパイスが、カツをあっさりまとめてくれています。一度食べると「これもアリだな」と思うこと間違いなし。
今回ご紹介したレシピでご家庭でも簡単に作ることができますが、福島に行く機会があればぜひ地元のお肉を使ったソースカツ丼もご賞味ください!