普段、料理などに何気なく使う「山芋」ですが、自然薯、長芋、大和芋、とそれぞれ違いがあることはご存知でしたか?
とろろやサラダなどに使うこれらの芋の特徴を知り、使い分けることでより美味しい料理ができるかもしれません。
山芋と自然薯・大和芋・長芋の違い
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自然薯は、日本原産の山に自生する芋で、大和芋や長芋と比べ粘り気が強いことが特徴です。大和芋と長芋は中国原産の芋で、長芋よりも強い粘り気がある大和芋は、とろろなどにもよく使われ、長芋はサラダなどに多く使われます。
それでは、「山芋」とはどのような芋なのでしょうか?
実は、「山芋」という言葉はさまざまな使われ方をされています。
まず、自然薯の別名として使われる場合、続いて、ヤマトイモ科の芋の総称として使われる場合、そして、自然薯や大和芋など「粘り気の強い芋」の総称として使われる場合があります。
つまり、レシピなどで「山芋」と書かれているときは、自然薯、大和芋や長芋など好きなものを使える場合と、自然薯を想定して使われている場合があるということになります。
自然薯のおいしい食べ方
出典:ウィキメディアコモンズ
自然薯は、「じねんじょ」と読み、「山芋」や「天然山芋」と呼ばれる場合もあります。
長さは一メートル程になることもあり、地下に向かって真っすぐ伸びることが特徴です。
その自然薯の特長は、他の芋に見られない、強い粘り気です。長芋をすりおろしてとろろにする場合もありますが、自然薯の粘り気は長芋とは違い非常に強いものなので、通常は出汁で伸ばして用います。
また、栽培種を山芋、山に自生する天然種を自然薯と呼び、区別する場合もありますが、現在、市場で廻っている自然薯はほとんど「むかご」(小芋)から育てる栽培種です。
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大和芋のおいしい食べ方
出典:ウィキメディアコモンズ
大和芋は、関西では捏芋(つくねいも)とも呼びます。これも粘り気が強いのでとろろして食べることが多く、自然薯と合わせて「山芋」とまとめて呼ばれることもあります。
関東では、イチョウ芋のことを大和芋と呼ぶこともありますが、関東で呼ぶ大和芋は長芋に近く、つくねいもと比べると、粘り気の弱い芋になります。
長芋と同様、和菓子の材料にも使い、「薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)」や、九州特産の「軽羹(かるかん)」などの材料とされることもあります。
お好み焼きを焼く際、ふわふわした食感を出すため、大和芋を入れることがよくあります。長芋を入れることもありますが、風合いがだいぶ違うので、レシピを参照するときは正確に理解しなければなりません。
長芋のおいしい食べ方
出典:ウィキメディアコモンズ
長芋は、自然薯や大和芋と比べると粘りが少なく、とろろで食べることもありますが、水分が多くシャキシャキとした特徴を活かし、千切りや短冊切りにして、サラダなどで食べることも多いです。
大和芋と同様に中国原産で、和菓子の材料としても使われています。生食できるという点では自然薯や大和芋と同様ですが、水分が多く、あっさりとした味わいなので、自然薯や大和芋との区別は容易でしょう。
自然薯と同様に、地下深く、長く伸びることが特徴です。
芋それぞれの特徴に合った調理で楽しもう
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ここまで、山芋、自然薯、長芋、大和芋の違いについてご紹介してきました。
主に粘り気に違いがあり、自然薯、大和芋、長芋の順に粘り気が強いこと、山芋は使われるシーンにより指すものが異なる事がわかりました。
用途にも違いがありますが、長い歴史と多様な地域で使われてきたことから、区別がつかなくなってしまったこれらの芋の、それぞれの違いを生かし、料理に合った品種を選ぶことで、よりおいしい料理が楽しめるのではないでしょうか。
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