アイスが好きな方は、季節を問わず一年中食べているかもしれませんが、暑くなってくると、アイスクリームが売れだします。普通のアイスは、常温においておくとすぐに溶けてしまいますが、溶けないアイスがあることをご存知でしょうか?
金沢生まれの「金座和アイス」は、40度の中でも3時間溶けないという、溶けないアイスを商品化しています。東京・原宿の竹下通りにも進出し、話題を集めています。
溶けないアイスとは?
この「溶けないアイス」とは名前の通り、まったく溶けない不思議なアイスのことで、石川県にある金沢大学の太田富久名誉教授がこの溶けない成分を開発しました。
一般的なアイスクリームは手に持っているとだんだんと溶けて液垂れし手が汚れてしまいますが、この溶けないアイスはその液垂れがないので手が汚れることなく食べることができます。この溶けないアイスが売られている「金座和アイス」は金沢と東京(原宿)、大阪(アメリカ村)の3店舗だけでしたが、最近新しく千葉と石川県にお店がオープンしました。
溶けないアイスは美味しいの?
出典:写真AC
溶けないアイスと言われても、イメージが掴めないことと思います。まったく溶けないわけではなく、時間の経過とともに柔らかくはなるのですが、形が崩れてこないのです。味は、冷たい状態では普通のアイスと極端に違うことはありません。
しかし、溶けていくと徐々に生クリームのような味が出てきます。これは、通常のアイスでは味わえない味です。生クリームのような滑らかな味は、細かく泡立てた状態で固めることにあります。単に珍しいだけでなく、味も追求している商品なのです。天然素材だけを使っているのも嬉しいことでしょう。
アイスの形も様々で、人気キャラクターのくまモンをはじめ、「家紋」「団子」や、兼六園でおなじみの、松を雪から保護する「雪吊り」など、目を楽しませてくれます。
金沢発祥らしく、金箔のトッピングまで用意されています。溶けないアイスの真骨頂といえるのが、「温泉くまモンのコーヒーバスタイム」です。
これは金座和アイスのお店では提供されていませんが、一時、東京・渋谷のダイニング「KICHIRI」で食べられました。
溶けないアイスでできたくまモンに、カフェインレスコーヒーを注いでいただくというものです。熱いコーヒーを入れても、アイスのくまモンはなかなか崩れないのです。これなら、ご家庭でも作れそうですね。
溶けないアイスはなぜ溶けないのか?
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溶けないアイスは、医薬品の研究者である、金沢大学太田名誉教授が考えた商品で、産学連帯で生み出されたものなのです。溶けないアイスの秘訣は、イチゴのポリフェノールにあります。そもそも、普通のアイスが常温で溶けてしまうのはなぜでしょうか。
それは、温度の上昇によって、アイスの形を維持している水と油脂とが分離してしまうためです。溶けないアイスでは、イチゴのポリフェノールが水と油脂を媒介することで、いつまでも水と油とをくっつけたままにして、泡を閉じ込めた状態にしておいてくれるのです。
イチゴのエキスは少量だけ使うため、特にイチゴ味を強くするわけではないので、抹茶味やチョコレート味のアイスでも美味しくいただけます。
イチゴのポリフェノールは、多くのポリフェノールが合わさってできており、この点「カテキン」など他のポリフェノールに見られない性質があるとのことです。
開発者である太田名誉教授が考えているのは、衰弱した病人にも栄養食を与えることだそうで、溶けないアイスの技術には大きな可能性が秘められているのです。