干菓子とは、乾菓子とも書かれる和菓子で、水分の少ない乾燥しているお菓子の総称です。生菓子は水分が多く、あん類を利用した大福やまんじゅうを指しますが、干菓子はちょうどその真逆にあたるお菓子です。定義では、水分の少ない和菓子の総称が干菓子という事になっています。
成分的な部分で言えば、水分が製品全体の20%以下の菓子を指していますが、和菓子を指している場合が非常に多くなってしまいます。そのため、パンやゼリーと言ったものも種類に含まれる生菓子と比較した場合には、どうしても種類が少なめとなるのも特徴です。
干菓子の原料
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干菓子の原料は、主にもち米が主原料です。もち米を洗ってから蒸し、干して乾燥させた道明寺粉を更に砕いて、「みじん粉」にします。更に同じ工程で砕いて「極みじん粉」にした粉を、焼いて砕きます。
この状態を「焼きみじん粉」といいますが、更にこれを細かくしたものを「寒梅粉」といい、干菓子を作る際に使われる原料が完成します。
完成した寒梅粉に上白糖や湯で溶いた水飴、食用の着色料を混ぜ合わせて、形にしたものが干菓子なのです。また主原料となる材料にはもち米の他にも、砂糖や麦粉といった粉状の材料が利用されています。
干菓子の種類
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干菓子の種類はいくつかあります。代表的な分類としては、打ち物、掛け物、押し物、焼き物、飴物の5種類です。打ち物は米を乾燥させた粉に砂糖を混ぜ、木の型で固めた干菓子です。落雁や和三盆といった干菓子がこれにあたります。掛け物はあられや豆、飴等に砂糖をかけたもので、雛あられやおこし等が有名です。
やや固めになる特徴もあります。押し物は寒梅粉という、打ち物でも使われている粉を更にふるってから、砂糖を混ぜて木枠に押し込めて固めたものです。打ち物と同じ様な印象がありますが、打ち物が固い干菓子であるのに対して、押し物の方が水分は多い干菓子なのです。
ややしっとりしていて、塩がま等が知られています。焼き物は小麦粉や米、もち米を使用して焼いたものです。せんべいの様な硬さではなく、ボーロ等の様な柔らかい歯ざわりの干菓子です。最後の飴物は砂糖に更に水飴を加えて煮詰め、冷やした後に細工したものです。金平糖や翁飴といったものを指します。
干菓子と落雁の違い
落雁は干菓子の一種であり、かけ離れる程の違いはありません。実際作成される際にも、干菓子の、打ち物や焼き物の製法が使われています。やや異なる点を挙げれば、落雁では型を押す際に、あんや小豆と言ったものを一緒に押し固めることもあるという点です。
この点以外は殆ど違いは無いのです。製法は明時代の中国にあった干菓子の製法に基づいており、類似した干菓子は中国にも存在しています。茶席の菓子や供物として用いられることが殆どで、茶の湯では最初の方に出される代表的な菓子となっています。
そのため落雁は和菓子の中でも高級なものとして認識されていることが多い干菓子です。実際に改まった場で出される落雁は、和三盆や黒砂糖といった、手間のかかる砂糖を原料として使われていることが多くあります。
干菓子の素朴な美しさと味わい
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干菓子の魅力には、華々しさというよりも、純朴な美しさがあります。特に干菓子の場合は材料や製法の手段が限られているため、こんぺいとうの様に二週間程かけて作られる菓子もあります。しかしその分、味や歯ざわりといった部分に作り手の技術や技法が詰め込まれる菓子でもあり、丁寧さや繊細さが求められる事が殆どです。
このように干菓子は、職人気質により近い菓子ということも出来ます。生菓子に生菓子の良さや美しさがあるように、一見地味でなかなか馴染みのない干菓子にも、美しさや繊細さといった数多くの魅力や楽しみ方が詰め込まれているのです。
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