「うららか」の意味や由来|例文や類義語・対義語も紹介

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「うららか」と聞くと何となくのどかなイメージがつくのではないでしょうか? 

その意味はなんとなく感覚的に分かる、それを雰囲気で使っている、といった人も多いでしょう。しかしながら、厳密には「うららか」という語の本当の意味はどのようなものなのでしょうか?

こちらでは、「うららか」の意味や由来、用いられる場面などについて解説していきたいと思います。

うららかの意味と例文


出典:ぱくたそ

うららかな春の日差しに誘われて、土の中からは様々な植物の芽が顔を出しました」

「作業をしようと庭に出たのにそこでうたた寝をしてしまったのは、昼下がりのうららかな陽気があまりにも気持ち良かったからだ」など、「うららか」という言葉を使った文章は日常生活においても時々見受けられるものです。

「うららか」という言葉は、漢字では「麗らか」と書くことができます。なのでその意味も「麗」という漢字から推測することのできる、麗しい、美しいといった内容が含まれるものです。

大きく4つの意味があります。

⑴晴れた空が広がっていて、柔らかくのどかな日差しが差し込まれているというもの。

⑵雰囲気や空気、声などに曇りがなく、晴れ晴れとしていて明るい、朗らか、楽しげであるというもの。

⑶心が穏やかでおっとりしており、隠し事などがなくわだかまりを感じないといったものです。

⑷「美しくて輝いている」、「優美で美しい」というもの。

うららかの意味がわかった後に、例文をみてみましょう。

麗か(うららか)の例文

・彼女は、麗かな和服を着て舞台に登場した。
・今日は、麗かな夕日が沈む海岸で散歩を楽しもう。
・景色が麗かったので、写真を撮るのを忘れずに。
・その映画は、麗かな音楽と映像で私たちを魅了した。
・彼の絵には、麗かな色彩と独特のタッチが感じられる。

「麗かな春」の例文

「麗かな春」という表現は、春の美しさや優雅さを表現する言葉としてよく用いられます。

・麗かな春の陽気に誘われ、公園でピクニックを楽しんだ。
・窓を開けると、麗かな春の風が部屋に入り込んできた。
・散歩中に見かけた桜の木は、麗かな春の光景を作り出していた。
・麗かな春の朝、鳥たちのさえずりが聞こえてきた。
・麗かな春の日差しを浴びて、公園の芝生でのんびりと読書をしていた。

 

麗か(うららか)は季語としても使われている!


出典:写真AC

春の季語でもある「麗か(うららか)」は様々な俳句・発句上で見ることができます。ここでは、季語の麗か(うららか)の解説をしていきます。

春の晴れた日に、太陽が明るく照ってその光を浴びた生き物たちが輝いている様子を指し、類似の季語である長閑(のどか)がありますが、長閑(のどか)はより静けさを、麗か(うららか)はより明るさ・光の様子を表しています。

では、実際に麗か(うららか)が季語として使われている俳句を見ていきましょう。

1.うらゝかや女つれだつ嵯峨御堂 (正岡子規『子規句集』)
2.かほるより雪気はげしく朝うらら(鬼貫『柏崎』)
3.麗かや大荷をおろす附木売 (前田普羅『定本普羅句集』)
4.麗かや松を離るる鳶の笛 (川端茅舎『川端茅舎』)
5.三椏のはなやぎ咲けるうらゝかな (芝不器男『芝不器男』)
6.玉と呼び絹と称ふ島波うらら (松本たかし『石魂』)

このように、春の俳句には春の季語である「麗か(うららか)」を用いている俳句が多くあります。

うららかの由来・言葉の背景


出典:写真AC

「うららか」の語源は、上でも書いた通り漢字の「麗」と共通しています。美しさ、上品さを表す「うらら」に接尾語がついた結果として「うららか」という言葉は生まれました。

では、次に「うらら」の語源を見ていきましょう。「うらら」はもともと「うらうら」という言葉で使われていました。

江戸時代の国学者である大石千引(おおいし ちびき)によって書かれた語学書、『言元梯(げんげんてい)』によると、「うらうら」は「ゆらゆら」という言葉から転じたものだとされています。ゆらゆらは、繰り返し動いたりゆったりとした動きを意味します。

また、「うらうら」が使われていた古代では、「うら」には心や心のうちという意味がありました。なんとなくもの悲しいことを意味した「心悲しい(うらかなしい)」という言葉にも心という漢字を使いながら「うら」という読み方をしています。

また、何気ないや無心である、屈託のないなどの意味を持った「心もなし(うらもなし)」という言葉も生まれました。

その後に、「心(うら)」のみで「のどか」を表すようになり、やがて「うらうら」に、そして今使われている「うらら」「うららか」に変化したといわれています。

うららかと春うららの違いとは?

「春の うららの 隅田川~」という歌をご存知でしょうか?この歌に出てくる「春うらら」は「うららか」と何が異なるのでしょうか。両者の違いを見ていきましょう。

まず、春うららの意味を見ていきましょう。春うららは冬の気配が消え、肌寒さは有りながらもちらほらと桜が咲き始める頃のことをいい、春の空が晴れていて太陽の日差しが穏やかに照らしている様子や春の雰囲気のことを春うららと表現します。

春の季節が持つ明るさや朗らかな様子を春うららは的確に表現しています。春うららは「うららか」の晴れた空が広がっていて、柔らかくのどかな日差しが差し込まれているという意味が「うらら」の部分にあたるといえます。

 

有名な著書でのうららかの例文


出典:ぱくたそ

「春うらら」という言葉があるように、「うららか」はその意味から、暖かい春の日のような過ごしやすい環境を表す際に用いられることが多いです。

他著名な作家の著書の中に麗か(うららか)の例文が見られます。

「~折々人の影がかなたの山の背こなたの山の尾に現われては隠れた、日は麗らかに輝き、風はそよそよと吹き、かしこここの小藪が怪しげにざわついた。」国木田独歩の著書『鹿狩り』。

「~或る麗らかな天気の日に、秋の高い青空を眺めながら、遠い昔の夢を思い出した。その夢の記憶の中で、彼は支那人と賭博をしていた。」荻原朔太郎の著書『日清戦争異聞(原田重吉の夢)』。

また、「うららか」は天気や環境ばかりでなく気持ちに対しても用いられる言葉なので、その場合には「試験前に分からなかったことが全て解決したので、今の私はうららかな気分になっている」

「喧嘩をしていた旧友と仲直りし、新しい友人とも大分親しくなることができたので、今の私の心はとてもうららかだ」といった形で使うことが可能です。

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