巫女装束の正しい着方を紹介|巫女の袴が赤いのはなぜ?

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巫女とは

巫女というのは、主に日本の神に仕える女性です。最も古い巫女は古事記まで遡り天岩屋に閉じこもった天照大神を外に出すために、岩の外で舞を披露した天細女命であるといわれています。そのため、巫女は舞を奉納したり祈祷したりすることで神の言葉を託宣するという位置づけでした。

明治時代に入ると神官の補佐という立場に法律で定められ、占いや託宣よりも、現在のような舞の奉納や参拝客の対応、神官のサポートなどが主な仕事となっています。巫女の装束は歴史が長いことからそれほど大きな変化は見られず、白衣に袴という組み合わせが主流です。

巫女の装束の仕組み


photo by DavideGorla

巫女装束の仕組みは、いくつかの衣装を組み合わせて、普段用と巫女舞や神楽用を分けるようになっています。普段の装束は白衣と緋袴、襦袢、掛け襟、草履とされていますが、巫女舞や神楽を舞うときには千早を羽織る他、水干や裳を身に着けることもあります。

また、儀式ではかんざしや切枝などの頭飾りを身に着け、採り物と呼ばれる小道具を手に持ったり、結婚式などで酒器を捧げ持ったりします。巫女装束は薄着になるため、寒冷地では羽織を装束に重ねることもできます。

装束の袴は大きく分けて2種類あり、古くから伝わる長いスカートタイプの切袴は、平安時代の装束である捻襠袴を原型として作られたものです。現在では動きやすさや着脱のしやすさから、キュロットスカートタイプの行灯袴が普段の装束の主流となっていますが、舞を奉納する時などは未だにマチありの切袴を使う神社も多いです。

巫女装束の着方


photo by m_nietzsche

巫女装束の着方は、通常の和服とそれほど大きな違いはありません。但し、神に仕える者ということで、きちんとした着こなしが求められます。

着る順番としては、まず半襦袢を、衿を抜かずに着て、その上に白衣を重ねます。帯位置は胸のすぐ下あたり、通常より高めになります。次に袴をはいて前側の紐を背中で交差させ、前で交差させてから後ろのなるべく高い位置で蝶結びをします。結び目の上に袴の後ろ側をのせ、後ろ紐を右が上になるように前側で交差させてから本結びをすると完成です。

巫女の装束の歴史

巫女の装束の歴史は古く、平安時代の年中行事絵巻にはすでに装束が描かれていました。平安時代には袴の色が好みで選ばれており、緑や紫などの袴を穿いていました。

しかし、室町時代初期になると御伽草子でも紅や紅梅の袴を身につけた巫女ばかりになっており、この頃には赤い袴が徐々に一般化していたと考えられています。

さらに、明治時代になると政府による神社祭祀制度の見直しがあり、巫女装束についても白衣と緋袴が定着しました。袴は動きやすさを考えて徐々に改良が重ねられていきましたが、明治時代になると教育者であった下田歌子が女学生用の行灯袴を開発した結果、従来の袴よりも動きやすく、着脱も楽であったために巫女装束にも取り入れられるようになったのです。

巫女の袴が赤い理由


photo by m_nietzsche

もともとは好みの色の袴を穿いていたにも関わらず、なぜ巫女の袴は赤が定着したのでしょうか。これには諸説ありますが、巫女の起源である天細女命が舞を披露したのが、太陽神である天照大神だったからという説があります。緋色は女神であり、太陽神でもある天照大神を象徴する色と考えられていたため、徐々に緋色が正当な装束の色と定着していったというものです。

また、巫女装束の袴の色は年齢によって変化していたという説もあり、未婚女性が緋袴だったことからこの色が定着したともいわれています。この他にも、冠位十二階で制定されている位の高い色として、紫、青に次いで赤が挙げられています。神に仕える女性の色として、高貴な色を割り当てたという説もあります。

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