日本の伝統色6選|名前の由来・意味・歴史・勿忘草の伝説

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日本の伝統色は、染物などによく使われる藍色や鮮やかな朱色、春になるとよく見かける桜色や若草色などがあります。日本には、昔からの歴史や文化が根付いている伝統色というものが存在します。今回はその伝統色についてご紹介します。

色の歴史

平安時代では、十二単の「襲の色目(かさねのいろめ)」に季節の色を組み合わせていたという風習が有名です。襲ね色目とは、現代でいう色合わせのコーディネートのことです。平安時代にも、色合わせによってファッションのコンセプトを魅せるという文化がありました。

ファッションに限らず、色は身分を表すものとしても使用されてきました。特に「紫」や「赤」は、昔では高貴な人にのみ身につける事が許された色でした。日本の色にも、様々な意味が込められています。

そんな伝統色を6つ、日本の歴史にも思いを馳せながら見ていきましょう。

日本の伝統色その1<撫子色(なでしこいろ)>

撫子の花からきている


出典:写真AC

初めにご紹介する伝統色の撫子色(なでしこいろ)は、かわいらしい色目で、ピンクに近い薄めの紅色です。ピンと来ない方は、桜色という薄い桜の花のようなピンク色にもう少しだけ紅を刺したような色を思い浮かべて下さい。

撫子というと、「秋の七草」の一つとして有名な撫子の花でもあります。平安時代には、襲の色目の一つとして若者の色とされており、源氏物語にもその様子が描かれています。

撫子色とは、その撫子の花の色が由来となっています。撫子と聞くと「大和撫子」という言葉を連想できると思います。

撫子は「撫でたくなるほど愛しい子」という意味で、主に小さくてかわいらしい愛児に使われていました。ここから転じて、日本の女性の優美で清楚な様子を讃える言葉になりました。

日本の伝統色その2<萌黄色(もえぎいろ)>

鮮やかな黄緑色


出典:写真AC

次にご紹介する伝統色は萌黄色(もえぎいろ)です。この色は鮮やかな黄緑色です。新緑を思わせるような瑞々しい色で、主に春を感じさせる伝統色です。このことから、平安時代では若さを象徴する色として親しまれていました。

この色は、歌舞伎の定式幕にも黒、柿色とともに使われています。使い勝手の良い色なので、平安時代の色を重ねる技法、襲(かさね)の色としてもよく使用されてきました。

例えば、薄紅色(紅色をピンク色にした感じ)の下に萌黄色を重ねることで、「桃」を表現していました。

これは春の襲ね色目ですが、夏だと萌黄色の下に紅梅色(梅の花のような色)を合わせることで「杜若(かきつばた)」を表現するコーディネートもありました。緑系の伝統色の中でも、特に使い勝手の良い色として重宝されてきました。

日本の伝統色その3<千草色(ちぐさいろ)>

青色にちょっと緑


出典:写真AC

伝統色の一つである千草色(ちぐさいろ)は、パッと色が浮かぶ方は少ないでしょう。

この色は分類するなら青系の伝統色となりますが、どちらかというと青色に緑色を少しだけ混ぜたような色になります。元々は千種色という漢字で、雑多な色という意味でした。

その後に、可憐な青い花の露草の呼称である千草という名前に変更されたと言われています。この千草とは、露草のことを表しており藍染による浅葱色(あさぎいろ)と花色(はないろ)の間の色調で、ほとんどが重ね染の下地色として用いられました。

江戸時代では、田舎から奉公にでた丁稚の股引きの色や普段着などとして、よく利用されていました。千草色は、庶民の日常生活で愛用されていた伝統色ということになります。

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