裏千家以外の茶の流派
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茶道の代表的な存在として知られる三千家(裏千家・表千家・武者小路千家)以外にも流派は存在します。 利休以前より存在していた「奈良流」と「堺流」などは、わびさびの精神を表現する事に心身を注いだ流派として知られています。
利休と同時代に発生した流派としては「織部流」「藪内流」などがあり、いずれも利休の唱えるわびさびの影響を受けながらも独自に発展させ、それぞれ三千家(裏千家・表千家・武者小路千家)とは独立した流派として定着しました。
その他にも武士道茶道と呼ばれる一風変わった流派も存在します。全体としては利休の流れを汲みながらも、刀があるため袱紗を右に着けるなど武士という立場に沿った作法を用いる流派です。
このように茶道の流派は枝分かれを繰り返す事で無限に増えていくという側面もあり、それに合わせて流派の数も細かく数え上げれば数百を超えるとも言われています。 その中で現代では裏千家が最も嗜んでいる人口が多く、資格の発行などもしているため、学びやすい環境にあると言えます。
しかしどの流派も根底には利休のわびさび精神が置かれているという点では共通しているので、特定の流派でなければいけないという事はなく、どの流派で学ぶ事となっても茶道文化に触れられます。
茶道の世界における裏千家の役割
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保守的に利休の精神を守る表千家、武者小路千家と良好な関係を保ちながらも対外的に茶道を広める裏千家の関係は、それこそがわびさび文化を表しているようにも見えます。 三千家という茶道を代表する立場の中で裏千家の果たす役割は大きく、茶道の専門学校の運営や定期的な茶道教室の開催は他二つの千家にはない特徴です。
しかし裏千家が対外的に展開するだけでは守ってきた文化、精神が蔑ろにされてしまう恐れも否めません。 それぞれの千家が果たすべき役割を明確にすることは、限られた空間で特定の作法に則って行われる茶道そのものです。
どのように動けば美しく見えるか、何を用いれば客人を心から喜ばせることが出来るか、着物、茶器、茶筅、袱紗、いわゆる小道具と呼ばれる注意しなければ気付かない点にまで目を向ける事で、茶道の奥深さを知ることが出来ます。
日常とは異なる空間で、一つ一つの動作に意味を感じながらお茶を味わう時間は、改めて自分の心と向き合うきっかけとなります。日本人ならではのお茶の文化を大事にしていきたいものですね。