【知っておきたい俳句の季語】俳句に用いられる季語や季題を紹介

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春夏秋冬それぞれの季語5語とそれを使った俳句

具体的に各季節を表す季語を5つずつ紹介しながら、その季語を詠んだ俳句を紹介します。

・春の季語・俳句:陽炎、春雨、桜貝、紅梅、彼岸 「春雨や ものがたりゆく 蓑と傘(与謝蕪村)」

・夏の季語・俳句:夕立、風鈴、夏草、氷室、炎天 「夏草や 兵どもが 夢の跡(松尾芭蕉)」

・秋の季語・俳句:鰯雲、落鮎、朝顔、名月、湯豆腐 「朝顔に つるべ取られて もらい水(加賀千代女(かがのちじょ))」

・冬の季語・俳句:北風、熱燗、神無月、雪、蒲団 「いくたびも 雪の深さを たずねけり(正岡子規)」 

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季語を指定する季節のお題、俳句の季題について


出典:写真AC

和歌や短歌、俳句などには季節を表す季語とは別に季題と呼ばれるものが存在します。季節を詠む季語に対し、季題は和歌や短歌、俳句を詠む際にお題として季節を表す季語を指定することを指します。

平安時代後期までに五箇の景物と呼ばれる花・郭公(時鳥)・月・紅葉・雪などが和歌を詠む際に季節に関する題目として定められました。

詩を詠むことが貴族階級の娯楽であった時代に生まれた雅な習慣だと言えます。

主に和歌を詠む際に、季題が示されます。俳句は自由に句を詠むことを主題として考えられているので、句を詠むことを楽しむ句会などで難易度を高めるために用いられることがある以外では、季題を設定することはないと言えます。

季語を使わない俳句、無季俳句とは?

既に紹介したとおり俳句を詠む際に季語を用いないという考え方が存在します。無季俳句と呼ばれる手法で、季語を用いずに俳句を詠むことで古い伝統から放たれた新しい俳句が生まれると言う考え方です。

無季俳句の存在は江戸時代の松尾芭蕉の時代から存在し、様々な議論を醸しましたが現在でも結論に至っていません。

近代では夏目漱石の「吾輩は猫である」や「坊ちゃん」を世に送り出したことで知られる俳句雑誌ホトトギスの主宰者が、花鳥諷詠を俳句の本質として唱えて無季俳句を排斥したことで、俳句は季語を含むべきものとする考えかたが普及しました。

しかし有名な俳人の作品の中にも次のような無季俳句が存在します。 「歩行(かち)ならば杖つき坂を落馬かな(松尾芭蕉)」 「亡き母や海見る度(たび)に見る度に(小林一茶)」 「襟にふく風あたらしきこゝちかな(与謝蕪村)」

日本の豊かな四季の移り変わりを表す、俳句の季語


出典:写真AC

世界最短の文学を称され、世界中で愛され高い評価を受ける日本の俳句の魅力の1つは日本人の持つ独特の季節感ではないかと考えられます。

季節の移り変わりを敏感に感じ、それを端的に表した季語は、伝統的に日本人に受け継がれている独特な美意識の賜物ではないかと感じます。そして季語は俳句をつくる重要な要素でもあります。

空調が整い年中美味しいものを楽しめる現代では、少しずつ日本人の季節感や美意識が失われつつあると言えるでしょう。

不意に日常生活において感じたことを17語で表してみると、意外な自分の一面に気づくかもしれません。ハードルの低い俳句にチャレンジしてみるのも良いではないでしょうか。

統的な日本人の美意識を取り戻すために季節を敏感に捉える俳句を嗜んでみることは悪いことではないのではないでしょうか。

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