【知っておきたい俳句の季語】俳句に用いられる季語や季題を紹介

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日本独自の文化の1つに五、七、五の三句、十七音の中に独特の世界観を詠む俳句があります。同じく三句、十七音で詠まれるものに川柳がありますが、俳句と川柳は似て非なるものだといえます。

俳句と川柳の象徴的な相違点は、季語の有無だといえます。五、七、五の三句、十七音の中に季節を表す季語を含める必要がある俳句に対して、川柳は季語を必要としません。

季語の有無で俳句と川柳という2つの伝統文化が共存していると言えるでしょう。

季語を通して季節を感じることができる俳句を紹介します。

季語は絶対に必要なのか?

俳句は季語を使うことによって、世界最短の文学とも称されるほど完成度が高いものだと言われています。

しかし厳密には絶対に季語が必要だと考える有季派と、季語よりも全体の文脈から溢れ出る季節感が重要だと考える季感派、あえて季語を使用しないことで古い伝統から放たれた新しい俳句ができると考える無季派が存在します。

俳句と季語の関係については議論が尽きることがないと言われるほど、密接なものであると言えます。

また、季語には季節感・連想力・象徴力の3つを表現する力があります。この3つは、俳句に深みを増す上で必要な要素といえます。

季語は俳句の季節感を出すためにある!


出典:写真AC

一般的には、俳句には季語が必要だと言われています。

季語は春夏秋冬新年それぞれの四季を感じる言葉のことです。俳句に入っているので、季語を見つけることで俳句が読まれている季節がわかります。

美しい四季を持つ国で生まれた文学であるからこそ季語を使用することで、句を詠んだ俳人の持つ季節感を連想させ作品に確固たる象徴力が生まれると考えられます。

また最適な季語を選び出す語彙の豊かさや表現力が、俳人の作風を作り上げるとも考えられます。

俳句を詠むのにあたって非常に重要なフレーズだといえる季語は、次に挙げる9項目に分類されています。

・時候:季節の変化を詠みます。春分、立夏、秋分、冬至などに代表されます。

・天文:天候、気象を詠みます。春雨や梅雨、秋雨、初雪などに代表されます。

・地理:山や川、海の状態を詠みます。春潮、青田、花野、枯野などに代表されます。

・人事:生活まつわることを詠みます。桜餅、新茶、案山子、こたつなどに代表されます。

・行事:年中行事を詠みます。卒業式、祭、大文字、除夜の鐘などに代表されます。

・忌日:俳句の文化を創った松尾芭蕉の忌日、芭蕉忌は秋の季語など有名人の忌日を詠みます。

・動物:昆虫など季節ごとに姿を現す動物を詠みます。白魚、初鰹、鈴虫、河豚などに代表されます。

・植物:季節を現す植物全般を詠みます。桜、夏草、紅葉、水仙などに代表されます。

・食物:旬の季節となる食べ物全般を詠みます。海苔、かき氷、新米、蜜柑などに代表されます。

このように季語は四季折々の様々なものを詠み込み俳句に季節感を持たすために用いられます。

俳句の季語の歴史


出典:写真AC

季語の概念は和歌や短歌が盛んに詠まれるようになった今から1,000年ほど前の平安時代後期だと伝えられています。その後鎌倉時代に盛んになった連歌を詠むに際して、詠み人の連想を限定する意味から季語の存在が重要視されるようになります。

江戸時代に入り貴族階級の遊びであった詩を詠むことが庶民に伝わったことで、季語のバラエティは爆発的に増加します。またこの頃に連歌の一部として詠まれ発句(ほっく)と呼ばれていたものが徐々に独立し、貴族的な生活をパロディとして詠った俳諧(はいかい)に変化したことで俳句の形が整います。

そして、有名な俳人である松尾芭蕉の手によって俳句の世界が確立されたと言っても過言ではないでしょう。

庶民的な感覚を取り込んだ季語を詠み込むことで、俳句は多くの庶民に受け入れられ世界最短の文学にまで昇華されます。 平安貴族達が詠んだ和歌や短歌に端を発した季語は、柔軟に時代に対応しながら、俳句には欠かせないものへと変化していったと言えるでしょう。

その後、明治時代に正岡子規によって俳句の近代化が行われました。俳句にとって重要な要素である季語を俳句の深みである理由としたのも正岡子規です。

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