荒唐無稽という言葉はどこから来ている?
荒唐無稽の由来は、中国の思想家・荘子の著書である『荘子』の中に出てきます。 その本の中には、「荒唐の言」「無稽の言」という言葉があり、これが現在の荒唐無稽の元になったとされているのです。
思想家の荘子は、自然に身を任せることをとても大切にしていました。よって、根拠が明確で論理的な言葉は自然でないとして荒唐の言を好みました。
現代では荒唐無稽が否定的な意味で使われていますが、「荒唐の言」では果てしなく広いことを表しており、好意的な意味で使われていました。この荒唐の言が後の「でたらめ」に繋がります。
また、無稽の「稽」には、考えるという意味があるため、無稽は「考えが無い」となり、「根拠がない」につながっています。 この二つの言葉を合わせたものが、現在も使われている「荒唐無稽」であり、「でたらめで根拠がない」という意味になっているのです。
つまり、「荒唐無稽」は似た意味の熟語を重ねて意味を強くしている四字熟語となっています。
荒唐無稽の使い方は?
出典:写真AC
荒唐無稽を使った例文を紹介していきます。
「この小説は荒唐無稽だが、滅法面白い」
この例文では、物語の内容がめちゃくちゃなものであることを表現するために、荒唐無稽が用いられています。 映画やアニメなどでも、「何なんだこれは」と思ってしまうような強烈な作品があったりしますが、そんなときは荒唐無稽の出番です。
「私が体験した荒唐無稽な出来事を、彼女は真剣な顔で聞いてくれた」
この例文では、自分の体験がいかに信じがたいものであるか、荒唐無稽を使って表現しています。 漫画や小説の中でありがちなことを実際に経験したとしても、他の人が信じてくれるとは限りません。 そんなときに使うなら、荒唐無稽がぴったりです。
「荒唐無稽な言い訳を鵜呑みにするのではなく、証拠の提示を要求すべきだ」
相手がでたらめな発言を繰り返し、こちらを煙に巻こうとしている場面です。 まるで根拠がないことを平然と口にする人もいますが、それはまさしく荒唐無稽であり、しっかりとした証拠がないと、到底信じられるものではありません。
荒唐無稽という言葉は日常生活だけでなく、ビジネスシーンにおいて人のアイディアや考えを否定する際などにも使われます。
「彼の計画は荒唐無稽なものであったが、数年後実現させた」
この例文では、彼の計画が現実的でなく、信じがたいものであることが荒唐無稽という言葉によって表現されています。信じがたいものに対して言いたい場合にも荒唐無稽は用いることができます。
また、荒唐無稽をもちいることによって実現させるすごさを強調しているともいえます。
「一見、荒唐無稽なものに見えて実際は綿密な計画の上で成り立っている」
こちらの例文は、中身や根拠がないようなめちゃくちゃなものを表現するために荒唐無稽という言葉が表現されています。よって、後半の文章で中身も根拠があることを伝え、強調しています。