耽美派の芸術
耽美派の芸術は、西欧で資本主義が確立される時代の激動を反映しています。そして、多くの個性や価値観、思想などが生まれた時代に広がっていきました。美しさを主観的に表現した作品には、どのようなものがあるのでしょうか。
エゴン・シーレ
エゴン・シーレは、オーストリアを代表する表現主義の画家。耽美さを創作活動でとどまらせられなかった変態画家としても有名です。幼児性愛者であり近親相姦者であった彼には、逮捕歴があります。街中の人から嫌われ居場所がなくなるほどのサイコパスであったともいわれていますよ。
そんな彼の作品には、街中で声をかけモデルをさせた女性の性的なポーズのものが多く、好き嫌いが分かれるでしょう。
グスタフ・クリムト
グスタフ・クリムトは、ウィーンの画家で、数多くの装飾画を手掛けた巨匠です。金をあしらった上品な作品の数々は、女性の裸体を美として描くものが多くあります。まさに耽美といえる美しい描写で、自らのスタイルを確立していますよ。
当時は閉鎖的な美術家からの非難も多く、クリムトの作品は国内外での発表を禁止されたほどでした。今では歴史的な壁画も多く、画家のエゴン・シスレーやオスカー・ココシュカへも大きな影響を与えたといわれています。
耽美派の音楽
最後に、耽美派の音楽についてご紹介していきます。
デヴィッド・ボウイ
デビット・ボウイは、イングランド出身のミュージシャンで、世界中に名を馳せているマルチアーティストです。ジャンルにとらわれずさまざまな音楽をつくり、自らのスタイルを貫きました。薬物中毒と闘いながらも、楽曲の創作意欲だけは衰えることがなく、晩年まで音楽へこだわり続けます。
彼が耽美派だといわれるのは、いい意味で当たり前を覆してきた人だから。ドイツがまだ西と東に分かれていたころ、「壁の向こう側にいるすべての友だちに祈りを」とHeroesを歌い、大統領クラスの人たちの心まで動かした話は有名ですよ。
ザ・スミス
ザ・スミスは、イギリスのロックバンドで、世界中で絶大な人気を誇っていました。彼らの音楽は陰湿な美意識とも呼ばれ、若者を中心にして共感を集めています。
ヴォーカルのモリッシーには、同性愛者といわれている説もあり、彼の書く歌詞が耽美であるのは愛の思考がゆえなのでしょうか。
耽美な世界を感じて
耽美(たんび)という言葉は使い慣れない分、ニュアンスの線引きが難しいですよね。さまざまなものや事象に当てはまるので、「耽美はどのように使えばいいのか」と、意識して毎日を過ごしてみてはいかがでしょうか。使用する機会があれば、耽美な世界を作品から覗いてみてくださいね。