なぜ子供の日はこいのぼり?
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子供の日にこいのぼりを飾る様子は毎年の風物詩になっていますが、このような行事が広まったのは江戸時代になってからです。当時は端午の節句になると、金太郎や武者、鯉の絵などが描かれた武者のぼりを掲げていました。
元々、鯉は中国では立身出世の象徴とされており、流れに逆らって滝に登り、見事に龍になったという故事もあります。日本でも鯉の生命力の強さにあやかって、武者絵の一つとして鯉の滝登りの図案がありました。
江戸時代の中期になると、武者のぼりの付属品である小旗に鯉が描かれるようになり、明治時代以降になってからは、これが独立して現在のこいのぼりになったといわれています。姿かたちは変化しても、子供の健康や立身出世を願ってお祝いしたという点では現在と違いはありません。
こいのぼりの色ごとの意味
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こいのぼりには、複数の色があります。一般的には、黒、赤、青の3匹が泳いでいますが、このうち、黒の真鯉は父親を指しています。江戸時代には、黒いこいのぼり1匹だけが泳いでおり、これが子供を表していました。
しかし、明治時代には緋鯉が入り、真鯉が父親という扱いになったのです。緋鯉もまた、明治時代に真鯉と2匹で並んでいた当時は子供を表していました。その後、昭和になってから青いこいのぼりが追加されると、赤が女性らしい色ということもあり、母親という扱いになったのです。
真鯉や緋鯉が立場を変えているのに対し、青いこいのぼりは、一貫して子供を表しています。
こいのぼりの「矢車」の意味
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矢車というのは、こいのぼりの棒の先にある、風でからからと音を立てて回る部品です。
輪の内部には矢の形をした棒が入っていますが、矢は古来より邪気を払い、幸運を招くものと考えられてきました。矢車をこいのぼりにつけることで、子供が幸せになるようにという願いが込められているとともに、回るときに出る音で、神々に子供の存在を知らせ、守ってもらいたいという意図もあったのです。
さらに、矢が風邪で回ることによって、どこから悪鬼や災いがやってきたとしても、すぐに射ることができるという意味も込められています。
こいのぼりの「吹き流し」の意味
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こいのぼりの上には、細長い布が無数にたなびく吹き流しがついています。この吹き流しは、元々戦国時代から幟につけられていました。
戦が頻繁に起こる戦国時代には、災いがこれ以上来ないようにという願いを込めて、魔よけの意味で吹き流しをつけていたのです。こいのぼりにも災い除けの目的でつけていますが、さらに派手な色合いで神様の注意をひき、子供が生まれたことを奉告するとともに、守ってもらえるようにという願いも込められています。
吹き流しは5色で構成されていますが、これは古代中国の陰陽五行説から採用されており、木を意味する青、火を意味する赤、土を意味する黄色、金を意味する白、水を意味する黒を使っています。
次のページでは、こいのぼりで有名な町を紹介します。