熊野筆とは?|熊野筆のお手入れ方法や化粧筆工房「竹宝堂」も紹介

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毛がどの筆に合うかを見極める!熊野筆の職人技


photo by Nobuyuki Kondo

熊野筆の筆づくりは、原料となる動物毛の選毛から始まります。 動物毛は天然素材ですが、筆には大筆・中筆・小筆など、さまざまな種類があります。 一房ずつの毛がどんな筆にふさわしいか、熟練の職人の目がなければ、見きわめることはできません。

選別した毛は、籾殻(もみがら)の灰をまぶしてから火熄斗(ひのし)を当て、鹿革で包んで揉み込む「毛揉み」を行います。 動物毛に含まれる油分を取り除く工程です。 揉み終わった毛を櫛で揃え、不要な毛を取り除いて毛先を揃えます。

半差しと呼ばれる小刀で逆毛やすれ毛を抜き取り、「寸切り」で必要な長さに切り揃えてから、塊(くれ)と呼ばれるかたまりにまとめて、次の工程に送ります。

塊は、筆数本分の動物毛を一束にまとめたものです。 「練り混ぜ」という工程で、寸切りした毛を水に浸してから、糊と混ぜ合わせます。

独自の配合で合わせた動物毛を、均一に混ぜ合わせるための工程です。 「芯立て」の工程で、規格に合わせて一本ずつの筆に相当する束に分けます。 筆の芯となる部分を作る工程です。 芯の表面には、「衣毛巻き」(ころもげまき)の工程で、より上質の毛を巻きます。

毛の根元を麻糸で締めて、焼きごてで固めると熊野筆の穂首の部分ができあがります。 熊野筆と呼んでよいのは、穂首を熊野町で製造したものです。 熊野町で作った穂首と軸を接着して、軸の部分に三角刀で銘を彫り上げると、熊野筆が完成します。

熊野筆の化粧筆工房「竹宝堂」

竹宝堂は、筆司(筆づくりの職人)竹森鉄舟が、広島熊野町に設立した化粧筆の工房です。中国・ロシア・ヨーロッパ・カナダなどの世界の各地からより優れた原料を厳選したこと、鉄舟による妥協のない品質の追求が、 世界が認める最高級の化粧筆を達成しました。

平成15年 (2003年)から、カネボウ化粧品による「カネボウ鉄舟コレクション」が発売されています。 カネボウ化粧品と熊野筆がコラボして化粧筆を作ったこと、灰リスの毛を贅沢に使った品質の良さで大好評となりました。

竹宝堂の化粧筆はその後も躍進を続け、海外の化粧品メーカー、メイクアップアーティストのプロフェッショナル達、ハリウッドを始めとする業界最先端の女優たちに愛用され、不動の地位を確立しています。

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