花鳥風月が見られる俳句や歌
出典:写真AC
ここで、四季折々の自然を題材にした俳句、花鳥風月が見られる俳句や歌を見ていきましょう。
「ねがわはくは 花のもとにて 春死なむ その如月の 望月のころ」
この歌は西行の代表的な歌で、如月の望月のころである桜が満開の時期に死にたいという願いを込めて詠んだ歌です。実際に、西行は願い通りに桜が咲く時期に亡くなりました。
「さまざまのこと思い出す桜かな」
この歌はかの有名な松尾芭蕉が詠んだ俳句で、この句を詠みながら芭蕉は若き日の自分の周囲で起こったことを思い出しています。この俳句では言葉に出せない思いをありきたりな言葉で表現することによってこの句一つで読者にしみじみとした気持ちにさせます。
「いにしへの人の心のなさけをば老木の花のこずゑにぞ知る」
この俳句も芭蕉が詠んだもので、現代語訳をすると「こうして桜の老木が今年も見事に咲いているのを見ると、その花を付けた梢(こずえ)に古(いにしえ)の人々の花を思いやる心の深さが偲ばれるなあ」となります。こちらの俳句からも花鳥風月が見られます。
「清水へ 祇園をよぎる 桜月夜 こよひ逢ふ人 みな美しき」
この歌は与謝野晶子代表作『みだれ髪』の中の一節で、京都の情景が目に浮かぶような歌です。
桜が咲く朧月夜(おぼろづきよ)に、清水へ行こうと祇園を過ぎていくと、月も桜も美しい。私の心が浮足立っているせいか、行き交う人々がみな美しく見えました。という歌です。
「菜の花や 月は東に 日は西に」
この句はご存知の方もいるのではないでしょうか?与謝蕪村が詠んだ大変有名な俳句です。この句は、蕪村が現在の神戸にある六甲山地の摩耶山(まやさん)に訪れた際に詠んだ句です。
菜の花が咲く春の夕暮れ時に摩耶山の山頂から見下ろすと一面の菜の花畑が広がり、空を見上げると出たばかりの月が東に、まだ沈まぬ太陽が西にあるという句です。なんとも不思議な情景ですね。
花鳥風月から日本語の奥深さを見てみよう
出典:ぱくたそ
花鳥風月の意味や由来、活用法、類義語などをいくつかご紹介してまいりましたがいかがでしょうか?
花鳥風月は四季折々の自然の美しさや自然を題材にして芸術を楽しむ日本独特の文化や慣習が根付いています。
今回紹介した花鳥風月のように、四字熟語にはそれぞれ成り立ちがあります。そして四字熟語のルーツを辿ることで日本語の奥深さを垣間見ることが出来ます。
花鳥風月の他にも日本にはまだまだたくさんの四字熟語が存在します。四字熟語を知ることで日本語の面白さをぜひ発見してみてはいかがでしょうか?