国芳と国貞はライバル関係?
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歌川国芳と歌川国貞。
名前は一文字違いで似ていますが作風は違います。2人は初代歌川豊国一門の兄弟弟子でした。
国芳は読本やお芝居の一場面、アクションシーンなどの物語を書くというのを得意としていました。現代でいうアニメや漫画のようにユーモアのある発想、独創的で誰も思いつかないようなデザインで人気を得ていきました。また性格は、江戸っ子気質で職人肌でした。
一方国貞は当時有名で人気のあった遊女の美人画や、歌舞伎などの役者絵をそのまま人々に伝える江戸の風俗そのものを描くといううちスタイルでした。
性格は温厚で真面目で国芳とは正反対でした。 国芳は若い時から国貞をライバルと意識していました。下積み時代に芸者と楽しく話す羽振りのいい国貞を見て、彼を追い越せば生活も楽になると奮起したと言われています。また国貞も国芳に対して常に強いライバル心を持っていました。
国貞に影響を与えた喜多川歌麿
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ここでは、歌川国貞に影響を与えたといわれている喜多川歌麿を紹介します。
喜多川歌麿は美人画を得意とする浮世絵師でした。国際的にも有名な浮世絵師で、葛飾北斎とも並んで称されています。浮世絵美人画の第1者として、様々な美人画を残しました。それまでは女性の全身を描いていましたが、喜多川歌麿は顔を中心とする構図を考案しました。
顔まわりにクローズアップすることで女性の表情だけでなく、日常や性格までもわかるように描こうとしていました。寛政三美人という作品が有名です。
海外でも愛される国芳・国貞の作品
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浮世絵は日本だけではなく海外でも愛されています。
19世紀後半の美術界や音楽界にまでにも大きな影響を与えてきました。 現在でも海外ではしばしば浮世絵の展覧会が開催されています。
特に国芳の作風は現代のアニメや漫画などに通ずるものが多いので、すんなりと受け入れられていると言われています。海外では日本のアニメや漫画はとても人気があります。そのため受け入れやすかったのでしょう。
色褪せない国芳・国貞を始めとした浮世絵作品
国芳にも国貞には同じ浮世絵でもそれぞれ違った良さがあります。国芳にはユニークな発想や奇抜なデザイン、見ている人があっと驚くような作風で楽しませてくれます。
一方国貞は美しい女性の美人画、歌舞伎などの役者絵を得意としています。当時の女性がどんな顔をしていたのかがよく分かり、当時の歌舞伎はどんなものだったのかがよくわかります。
またどんな作風なのかというのを少しでも頭に入れるだけで、作品の見方が代わり、より面白く感じます。
色鮮やかな浮世絵にはいろいろな技法が使われています。現代人が浮世絵を見るという機会はあまりありません。ですが、浮世絵は大切にしていきたい日本の伝統です。現代にも浮世絵を伝えるために、海外でも展覧会などを開催しています。
現代においても浮世絵は、色褪せることなく多くの人を魅了しているのです。
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