灘の日本酒!西宮の酒蔵めぐり

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「灘の生一本」で昔から日本酒の生産地として有名な灘。兵庫県神戸市の東灘区、灘区、西宮市を合わせた阪神間地域で、今でも酒造メーカーが軒を連ねています。灘の酒造は「灘五郷」の一角、西宮郷を訪問してきました。

日本有数の酒の生産地

灘が日本酒生産地として栄えたのには以下のような理由があります。

・海が近いので江戸時代海上輸送に便利だった

・海からの湿気と「六甲おろし」が酒造りに適していた

・酒造りに適した、播州の上質の酒米が豊富だった

・1840年に「宮水」という上質のミネラル水が発見された

好条件が重なって優秀なお酒ができました。ちなみに「灘の生一本」と灘で生まれ育った混じりけのない優秀な清酒のことです。

灘の酒造は「灘五郷」といって、今津郷、西宮郷、魚崎郷、御影郷、西郷と5つの地区がありますが、このうち兵庫県西宮市にある西宮郷を訪ねてみました。

西宮市の海に近い場所に酒造メーカーが並ぶ「酒蔵通り」があります。日本酒をテーマにした博物館や施設、お土産屋さんがあります。

昔の酒造りの様子がわかる「白鹿記念酒造博物館」

まずは西宮郷にある「白鹿記念酒造博物館」へ。入場料は400円かかりますが、お土産に記念の日本酒をもらえるのでお得です。「記念館」と「酒蔵館」があり、まずは記念館へ

↑新酒ができたことを告知する杉玉がお出迎え

「記念館」では「白鹿」の歴史やゆかりの美術品などの展示を見ることができます。残念ながらここは撮影禁止。「鹿 幸せの動物」として鹿の絵が飾られていました。また白鹿の近代の歴史が語られています。

建物を出て道路を渡ったところに「酒蔵館」があります。ここでは昔の酒造りの工程を見ることができます。

酒蔵館入り口

中にはいると昔の酒蔵の様子が展示してあります。

荷車や井戸など、タイムスリップしたかのような感覚を味わえます。

いよいよ屋内に入ります。

屋内はさらに伝統的な風情あふれる景色です。

現代ではかなり珍しい木桶です。

人が入れる直径があります。

樽と比較すると、木桶の大きさがよくわかります。

手間暇かける昔の現場が想像できます。

こちらも、かなり珍しい木桶の樽です。

桶だけでなく、人の動きがわかるものたいへん魅力的です。

震災前の酒蔵館は阪神淡路大震災で壊れていましました。壊れた酒蔵館の様子も再現されていました。

建物からでるとレストランとショップがある「白鹿クラッシックス」。

ショップではいろいろな種類の「白鹿」のお酒や酒粕や甘酒、奈良漬などが並びます。

限定の量り売りの「しぼりたて原酒」も飲めます。日本酒好きにはたまりません。

お土産に季節限定のメロンの奈良漬と酒まんじゅうを買ってきました。

蔵元の暮らしを再現、おちついた佇まいの「白鷹緑水苑」

白鹿記念酒造博物館の近くにあるのが「白鷹緑水園」。かつての造り酒屋の伝統的な商家の様子を蔵元「北辰馬家」の資料から再現しています。

中にはうなぎで有名なレストラン「東京竹葉邸」と白鷹のショップ「美禄市」、「宮水ホール」や蔵元の生活を再現した暮らしの展示室があります。

↑暮らしの展示室

ガラス作り体験もできる「日本盛酒蔵通り煉瓦館」

日本盛の直営「日本盛酒蔵通り煉瓦館」。こちらにもレストランとショップがあります。

ショップには日本盛のお酒やグッズが並びます。また量り売りの原酒も飲めます。

↑「灘の生一本」試飲もできます。

↑酒ケーキ!どんな味でしょう。

なぜか山口県の旭酒造のの人気の日本酒「獺祭」を売っていました。日本盛よりも獺祭を推しています。

理由を聞くと、獺祭の社長が日本盛で修行していたそうです。

日本酒をつかった化粧品もあります。

またガラス工房があり吹きガラスづくりなどの体験もできます。

灘のおいしいお酒の源「宮水」

そしてこれが灘の酒造りに欠かせない「宮水」発祥の地。

「宮水」は江戸時代後期の1837年(天保8年)または1840年(天保11年)に、桜正宗の六代目蔵元の山邑太左衛門が発見したと言われています。

彼は、西宮で作った酒と魚崎郷で作ったお酒は全く同じ工程で作っても味が違っていて、西宮の方が良質であることに着目しました。清酒は夏を越すと「火落ち」と言って味が悪くなるのに、西宮の酒だけは「秋晴れ」といって味が一段と芳醇になったそうです。

山邑太左衛門は原因を西宮の梅ノ木蔵の「梅ノ木井戸」の水であると結論づけました。これから「西宮の水」すなわち「宮水」を灘の酒蔵が競って使うようになりました。

宮水は、六甲山からの伏流水で硬度が高くリン、カルシウム、カリなどの含有量が多く、鉄分が少ないという特徴があります。また海に近いので塩分も適当に含まれています。宮水を作ったお酒は醗酵が強くて辛口な男酒と言われています。

宮水は、酒造りに理想的な成分となっていますが、今の科学を持ってしても、なぜ適しているのか謎が残っているそうです。

阪神工業地帯の真っ只中にあるこの地区ですが、宮水保全の努力が行われて、奇跡的に水の状態は現在でも良く、環境省の「名水百選」に選ばれています。

宮水は、水として直接飲むと硬度が高いのでお腹を壊すこともあるそうで、飲用水には適していません。特に宮水を飲んだり汲んだりする場所はありません。

発祥の地の周りには、今でも各酒造メーカーの「宮水」の井戸があります。

まとめ

駆け足でしたが、灘の日本酒と西宮市にある酒蔵通りの施設ご紹介しました。紹介した以外にも酒蔵通りには、酒造メーカーがたくさんあり、直接お酒を買うことができます。

また2月から3月の新酒のシーズンには「西宮蔵開」といって、酒蔵がしぼりたての新酒の試飲や販売、見学などのイベントがあります。

西宮の酒蔵通りに一度足を運んでみてはいかがでしょう。お酒好きの方は、おいしい灘のお酒もぜひ試してみてください。

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