「おやき」と聞くと、銅版の型で焼き上げるクリームや餡子が入ったふわふわの「今川焼き」や「大判焼き」をイメージしがちかもしれませんが、長野県出身者おなじみの郷土料理「信州おやき」は全く別物。
見た目も具材も地味ではありますが、食べてみるとどこか「ほっ」とする、今も昔も変わらず愛されている郷土料理です。
今回は、長野県民のソウルフード「信州おやき」をご紹介します。
長野の郷土料理「信州おやき」とは
簡単に言ってしまえば、「小麦粉で練った生地で具材を包み、加熱したまんじゅう」、これが信州おやきです。
しかし、「信州おやき」と一言でいいますが、長野県はご存知の通り広大なエリア。集落や地域によっておやきの作り方にも様々な違いがあるのです。
発祥の地は長野県の北部で雑穀の粉が使用されていたそうですが、今では長野県各地で郷土料理として親しまれています。膨らし粉を入れてふわっとさせるおやきもあれば、もっちりとした食べごたえのある生地が特徴的なおやきも。
加熱の仕方にも地域によってこだわりがあり、昔ながらのいろりの灰の中でじっくり焼き上げるおやきもあれば、蒸し器で蒸すおやき、焼いてから蒸すおやきもあります。
今回は、家庭で気軽に作れるように小麦粉だけを練り上げた生地で具を包み、フライパンを使って蒸し焼きにする作り方をご紹介します。
長野の郷土料理「信州おやき」の簡単レシピをご紹介!
〔材料(直径約8㎝のおやき12個分)〕
〇生地
中力粉 300g
熱湯 200ml
打ち粉 少々
〇なすあん
ナス 2~3本
玉ねぎ 1/2個
水 大さじ3
味噌 大さじ2
砂糖 大さじ1.5~2
めんつゆ 大さじ1.5
すりごま 大さじ1
ごま油 大さじ2
〇かぼちゃあん
かぼちゃ 200g
みりん 大さじ3
砂糖 大さじ2
塩 少々
ナッツ お好みで
中力粉は、なければ強力粉と薄力粉半量ずつ使用すると良いです。
「信州おやき」レシピのポイント
〔作り方〕
1.ボウルに中力粉を入れ、熱湯を注いで菜箸でぐるぐるかき混ぜる。水気がなくなったら手で捏ね、丸くまとめてラップをして1時間ほど寝かしておく。
2.ナス味噌を作る。ナスを角切り、玉ねぎをスライスし、ごま油を熱したフライパンで炒める。玉ねぎがしんなりしてきたら水と調味料を加えて蓋をし、水気がなくなるまで蒸し煮にする。
3.かぼちゃあんをつくる。ふかすかレンジで加熱して柔らかくしたカボチャをボウルに入れ、熱いうちに調味料を合わせて一緒にマッシャーでつぶす。ナッツがあれば、刻んで入れると香ばしく食感が良い。
4.打ち粉をしたまな板に生地を出し、12等分する。細長く棒状に伸ばした後、半分に切り、それぞれ6等分すると良い。
5.生地を伸ばし、2と3で作ったあんをそれぞれ包んでいく。かぼちゃあんを包んだおやきには、砕いたナッツを表面に乗せると見分けがつく。
6.フライパンに薄く油を敷き、包み終わりを下にして中火で焼いていく。焼き色が付いたらひっくり返し、両面に焼き色を付ける。
7.焼き色が付いたところでフライパンに深さ1㎝ほどの水を入れ、蓋をして蒸し焼きにする。中火で5~7分ほど蒸し生地に火が通ったようであれば蓋を取り水を捨て、水気がなくなるまで加熱する。
たくさん作っても食べきれない場合は、冷凍保存をしておきましょう!粗熱をとった後、ラップで包んで冷凍しておけば、食べたいときに電子レンジ等で温めなおすことができます。
あんの上手な包み方
このおやきづくりで一番のポイントは、具の包み方です。皮が破れてしまうとせっかくの具の味が流れ出てしまったり、見た目が悪くなったりしてしまいます。
コツは、伸ばすときに綿棒を使い丸く伸ばすのですが「中心を薄くしすぎない」ということと、生地を指で引っ張りながら中央に集めて最後に肉まんのようにひねる事。焼けば生地同士がくっついてくれるので包み終わりの頑丈さは、さほど気にしないで大丈夫です。
最初はうまくいかなくても、何度も繰り返していると納得したおやきができますよ。もし皮が破れてしまっても自分たちで食べてしまうので「包み方が難しそう…」と構えないで挑戦してみてください。
長野の郷土料理「信州おやき」は他にも色々な具で
今回は、「なすみそあん」と「かぼちゃあん」のおやきを紹介しましたが、本場長野に行くと季節によって何十種類もの具が入ったおやきが作られ、販売されています。
オーソドックスなところで言うと、「野沢菜」「ねぎみそ」「切り干し大根」「ヒジキの煮物」などのおかずが入ったものや、「小豆あん」「さつまいもあん」「栗あん」などの甘いおやきがあります。春には山菜、秋にはキノコが入ったおやきも大人気。変わり種では、チーズ入りやキムチ入り、ピザ風なんかもあるそうです。
冷蔵庫にある作り置きのおかずや食材を組み合わせて、オリジナルおやきを作ってみるのも面白いですね。