東北地方に位置する福島県は太平洋にも面しており、海の幸・川の幸・山の幸に恵まれた非常に豊かな食文化や郷土料理が育まれてきた土地です。また、あまり知られていませんが、北海道・岩手県に次ぐ3番目に広い面積の都道府県でもあります。
その広い土地を利用し、古くから畑作が盛んな福島県はじゃがいもの産地でもあります。
今回は、福島県民がこよなく愛するじゃがいもを使った郷土料理「味噌かんぷら」のレシピをご紹介します。
福島の郷土料理「味噌かんぷら」とは
「味噌かんぷら」は、ピンポン玉より小さいくらいのサイズのじゃがいもを揚げ焼きし、甘い味噌だれを絡めた料理です。ごはんのお供として食卓に上がるだけではなく、おやつやお酒のお供としても愛されてきた郷土料理「味噌かんぷら」。ホクホクとしたじゃがいもと甘塩っぱいたれがよく合い、懐かしい味わいです。
福島県では独特の方言で、じゃがいものことを「かんぷら」と呼ぶことから、「味噌かんぷら」と言う料理名になっています。
じゃがいもは寒冷な福島県でも栽培しやすい植物なので、古くから農家や家庭菜園で多く作られてきました。
その際、大きな正規品のじゃがいも以外にも小芋がたくさんできることから、手軽に小さなじゃがいもをたくさん食べられる「味噌かんぷら」が福島県の食卓に登場したと言われています。
福島の郷土料理「味噌かんぷら」の簡単レシピをご紹介!
〔材料(フライパンで1回でできる量)〕
じゃがいも(小) 10~15個
油 大さじ2~3
〇味噌 大さじ2
〇みりん 大さじ2
〇砂糖 大さじ1
味噌かんぷらの材料はいたってシンプル。じゃがいもと少しの調味料、しかもどの家庭にもあるような手軽なものがあればできる料理です。味噌かんぷらは皮ごと調理をするので小芋の皮を剥く必要がなく、調理行程が簡単で10分~15分あれば出来上がるスピードレシピです。
甘さはお砂糖やみりんの量で調節することができます。ぜひ好みの味に仕上げてみてください。
「味噌かんぷら」レシピのポイント
〔作り方〕
1.じゃがいもを皮つきのまま使用するので良く洗って水気をふき取る。じゃがいもの大きさは一口サイズがちょうどいいが、大きい場合は食べやすい大きさに切ってから調理する。
2.フライパンに油をひき、蓋をして弱火~中火でじゃがいもを転がしながらじっくり火を通す。
3.じゃがいもに竹串を刺し、すっと串が通ったら弱火にし、〇の材料を合わせて入れる。
4.水気が飛び、じゃがいもに味噌だれが絡まったら火を止めて皿に盛り、完成。
今回はフライパンで揚げ焼きをする要領でじゃがいもに火を通したのですが、多めの油で揚げたり、レンジや蒸し器や茹でて火を通してから表面をこんがり揚げ焼きしても良いです。
表面がこんがりと揚げられていることで、味噌かんぷらにした際に味噌だれが絡みやすく、じゃがいもの皮の独特の土の香りも気にならずに食べられます。
「味噌かんぷら」はなぜ皮ごと調理?
実はこの味噌かんぷら、じゃがいもの栄養素を余すところなく食べられる料理なのです。
「野菜や果物には皮の近くに栄養がある」という話を耳にしたことはありませんか?
それはじゃがいもも例外ではなく、皮や皮の近くにもビタミンCや食物繊維などの栄養素が多く含まれています。また、皮を剥いて茹でたりする調理法だと、少なからず素材の栄養素が水の中に逃げ出てしまうのですが、味噌かんぷらのように、皮ごと揚げてしまえば栄養素の流出も防ぐことができるのです。
なかなか皮ごとじゃがいもを食べる機会が無いかもしれませんが、丸ごと野菜を食べることは栄養学的に大変理にかなった食べ方なのです。
厳しい冬がある福島県民の生活の知恵が詰まったのが郷土料理・味噌かんぷらなのです。
味噌かんぷらの主役・じゃがいもは福島では主食の代わりだった
今でこそ、東北や北海道地方で多く栽培されている水稲ですが、品種開発の技術が進んでいない頃の日本では寒冷地での稲作は厳しいものがありました。
日本人の主食であるお米の収量が少ない分、寒い地方では米の代わりにじゃがいもが主食として食べられていたと言います。北海道や東北地方では、「郷土料理」としてじゃがいも料理が多く存在します。そのことからも、様々な工夫をしてじゃがいもを主食の代わりに食べていたことが分かりますね。
福島県民の知恵が詰まった「味噌かんぷら」
こんがりと揚がったじゃがいもに甘い味噌だれが絡められた味噌かんぷらは、寒い地域で暮らしてきた人々の知恵が詰まった優れたじゃがいも料理でしたね。
栄養満点、且つ、手軽に調理できる郷土料理です。ぜひ、小さなじゃがいもが手に入った際には、味噌かんぷらをご家庭で作ってみてはいかがでしょうか?