お客様に寄り添って心地よい接客を提供する”仲居さん”。外国人観光客が増えていることからも、今後の活躍が期待されています。そこで今回は、仲居さんについてご紹介します。
仲居さんとは
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旅館に宿泊した際に、部屋の案内や食事の準備など着物を着た女性がありとあらゆるお世話をしてくれた経験はありませんか?
現代での仲居さんとは、旅館や料亭などでお客様の給仕や接待などを行う女性のことをいいます。
近世、江戸時代では大奥や公家の邸宅で主人に奉仕する女性の部屋やその女性のことを指していました。また、武家などの邸宅で使われていた上女中と下女の中間層にいる女性のことを「仲居」と呼んでいました。
仲居さんの1日の流れ
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ここでは、意外と知らない仲居さんの1日の流れをご紹介します。
仲居さんのお仕事①朝食準備
仲居さんの朝は早いです。朝の6時半までに身支度を整えて出勤します。もちろん、着物の着付けは自分でしなければなりませんが、慣れてくれば10分~15分ほどで着付けることができます。
そして、担当のお客様の起床時間に合わせて朝食の準備をします。旅館によっては布団を片付ける際に舞うホコリが落ち着き、配膳が終わるまでお客様には梅干しとお茶を出してお待ちいただきます。
配膳が終わったら、お客様に席についていただいて品目の説明をします。夕食の時とは違い、朝食はすべての品目を一度に運びます。
仲居さんのお仕事②お見送り
朝食の後片付けが終わったら、チェックアウトされたお客様のお見送りをします。最後まで丁寧な心配りが大切です。笑顔でお客様をお見送りします。
仲居さんのお仕事③中抜け(休憩)
朝の仕事が終わると、午後の仕事まで少し長い休憩を挟みます。休み方は人それぞれで、仮眠を取る人もいれば観光やお散歩をする人、趣味を楽しんだりと次の仕事に備えリラックスします。
仲居さんのお仕事④お出迎え
午後の仕事がスタートすると、まずはミーティングを行います。次に担当するお客様がチェックインする前に担当するお部屋とお客様についてしっかりと把握します。ここで、お客様の食事の好みやアレルギーなどを確認しておくことでより一層素敵なおもてなしを提供することができます。
そして、担当のお客様が旅館に到着されたらお出迎えをし、館内を紹介しながらお部屋まで案内をしていきます。部屋ではお茶菓子とお茶をふるまい、ご挨拶をします。仲居さんの挨拶は”口上”ともいい、それぞれの旅館によってオリジナルのご挨拶”口上”があります。
浴衣のサイズなどは、お客様の背格好を見てサイズが小さければ交換します。また、夕食の時間を聞いたり、苦手なもの、アレルギーの確認も行います。
仲居さんのお仕事⑤夕食準備
お客様も楽しみにされている夕食は、1日のメインイベントといっても過言ではありません。仲居さんは、お客様の食事スピードやタイミングに合わせて食事や飲み物を提供します。その土地や季節に採れる新鮮な食材を使った料理長自慢の料理の数々をお客様に説明しながら提供します。
おもてなしの心を持って夕食を準備・配膳することが大切です。
仲居さんのメリット・デメリット
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では、仲居さんになるうえでのメリット・デメリットを見ていきましょう。
仲居さんのメリット
まず、”お客様の声が直接聞ける”ということがメリットといえます。常に担当のお客様に寄り添った接客を行うため、お客様も気持ちよく旅館に滞在することができます。
そのお客様の気持ちを直接聞けることが仲居さんのやりがいでもあり、メリットといえるでしょう。
また、仲居さんのメリットとして美しい所作が身につくことが挙げられます。仲居さんは旅館の顔となるため、粗雑な所作は良くありません。常に、美しく丁寧な所作を求められます。ほかにも、着物の着付けが身に付き、1人で素敵に着付けを行うことができるようになります。
仲居さんのデメリット
仲居さんのデメリット、つまり苦労することや働いていてつらいことは、身体を酷使する点です。基本的には、立って接客し、スピーディーな所作が必要になるため、膝や腰を痛める仲居さんも少なくありません。
また、常に笑顔でいなければならない点も仲居さんの苦労するところといえます。接客業とはいえ、常に笑顔を振りまくのはなかなか大変なことです。苦労を乗り越え、この笑顔を常に携えることができれば一人前の仲居さんといえるのでしょう。
他にも、厳しい礼儀作法を習得しなければならない点も苦労の一つでしょう。洋服になれている人が突然和服を着て美しい所作を習得するのは体力的にも精神的にもなかなか大変なことです。ですが、これを習得できれば一生モノの財産となるでしょう。
仲居さんに向いている人の特徴
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仲居さんについて学んだところで、仲居さんに適した人はどのような特徴があるのでしょうか?仲居さんという職業に興味がある方は、ぜひこちらを参考にしてみてください。
誰とでも友好的に接することができる
仲居さんは、お客様に気持ちよく滞在を楽しんでいただくために丁寧な接客はもちろん、お客様とのコミュニケーションも大切になってきます。また、旅館には様々なお客様がいらっしゃるので、どんなお客様にも打ち解けて楽しく話せるような人が求められます。
ですので、誰とでも分け隔てなく接することができる人は向いているといえるでしょう。
外国語が話せる
特に観光地などでは、国内だけでなく海外からのお客様もいらっしゃいます。2020年には東京オリンピックも開催されるため、外国人旅行者はより増えるでしょう。
中には、初めて日本に訪れる方もいるので不安な気持ちや残念な気持ちにならぬような接客が必要となってきます。そこで、海外の方と積極的にコミュニケーションが取れる人、英語などの外国語が話せる人は仲居さんに向いているといえます。
忍耐・体力がある
既述の通り、仲居さんは常に立っているお仕事です。夕食時・朝食時には食事を運ばなければならないため、腕の力が必要になってきます。また、しゃがんだり立ったりを繰り返すので足腰を痛めてしまう場合もあります。
それに加えて、所作や言葉遣いにも気を付け笑顔での接客が必要ですので精神面と体力面ともに強くなければなりません。