他の金属とは違った特殊な金属「錫(すず)」をご存知でしょうか。錫の酒器は味わいがまろやかになり、錫の火器は花を長持ちさせるなど、なんとも魔法のような素材です。今回は錫の酒器について特徴からお手入れ方法までご紹介します。
錫とは
出典:写真AC
錫(すず)は比較的柔らかい金属となっています。そのため変形することはありますが、比較的割れにくくすぐに修復することができます。また、錫は金属独特の匂いも発しません。丁寧に扱えば長く使うことができるものなのです。
錫(すず)は、融点(溶ける温度)が他の金属と比べて低くなっています。そのため、電子レンジや直火にかけてしまうと溶けてしまうおそれがあるので錫製品を扱う際には注意が必要です。
錫(すず)は熱伝導率にも優れています。錫器でお酒を燗にしたい場合はすぐに温まり、冷酒で楽しみたい場合はより冷えた状態で楽しむことができます。
他にも、錫(すず)は「錆びることがない」という特徴を持っています。それは、空気中でも水中でも変わりません。金属の中でも錆びることがないものは大変珍しく、古来日本では神様に捧げるものとなっていました。
錫の酒器の特徴①<長持ちする>
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上記にも挙げたとおり錫(すず)は他の金属と比べても柔らかい珍しい金属です。よって、錫(すず)の酒器は丁寧に扱っていれば長持ちするものとなっています。
錫の酒器を長持ちするためには、以下のことを気を付ければよいでしょう。
①電子レンジや直火にかけないこと
②冷凍庫に入れないこと
③落とさないこと
錫(すず)の酒器は高温・低温に弱いので、長持ちするためには①と②に気を付けたいですね。錫(すず)は柔らかい金属なので滅多に壊れることはありませんが”万が一”という場合がありますので、長持ちをさせたいなら③を気を付けて丁寧に扱いましょう。
錫の酒器の特徴②<熱伝導率が高い>
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錫(すず)は上記にもあるように熱伝導率に優れています。温かくなりやすく、冷たくなりやすい。酒器では、日本酒の燗はすぐに温まり、冷酒はより冷えた状態で味わえます。
また、常温で飲む際には手から酒器へと伝わる温度によってさらに味わい深いものとなります。
錫の酒器の特徴③<イオン効果>
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錫(すず)は酒器以外でも花瓶などに用いられています。その理由として挙げられるのが「イオン効果」です。
古来中国では、水を浄化するために井戸の底に錫(すず)を沈めていたとされています。錫イオンによって菌の繁殖を抑制し、水が腐りにくくなるのです。花瓶ではこれが応用され、花が長持ちするため錫の花瓶が重宝されています。酒器の場合では、雑味を取り除きまろやかな味わいとなるのです。
そんな錫の製品を扱う「錫光」は、「現代の名工」に選ばれた初代の意思を引き継ぎ、今なお様々な作品を手掛けています。
【錫光】
住所:埼玉県川口市源左衛門新田300-31
アクセス:JR武蔵野線「東川口駅」
URL:https://www.takumi-suzukou.com/