東京の老舗呉服屋・銀座越後屋
近年では和服よりも洋服のほうが主流になっていますが、昔から変わらず呉服を取り扱っている老舗の店舗もあります。東京の老舗呉服屋である銀座越後屋は、江戸時代から続いています。初代の永井長助は現在の新潟県から江戸に丁稚奉公に上がり、1755年に藍染屋を始めました。
その後、太物を取り扱っていたものが絹織物の呉服まで手を広げて現在の礎を築きました。2代目になってから現在の店舗のある銀座に店を移し、今に至っています。大正時代には関東大震災で店舗が全焼したものの、昭和6年に新店舗を建てました。
老朽化に伴い建て直しを開始し、2010年に完成しています。現在では、伝統的な色柄の和服や伝統工芸品などの取り扱いはもちろん、モダン柄や斬新なデザインの和服も扱っています。
呉服の魅力とは
呉服の魅力は、木綿や麻では出すことのできないやわらかい手触りや着心地です。きめの細かい絹織物は、肌にしっとりとなじむ上、夏は涼しく、冬は暖かく着られることで多くの人に愛されてきました。
細い糸で織るため、繊細な織柄や染め模様を出すことができ、芸術的な作品が多数生み出されています。発色もよく、無着色の温かみのある色だけでなく、さまざまな染料で鮮やかに染められた着物は多くの人の目をひきつけます。
また、糸のより方や織り方などによって、まったく風合いや着心地が異なる点も呉服の大きな特徴です。日本でも、気温の高い地域では風通しがよく、さらりとした着心地の紬などが伝統的に織られていますし、寒い地域では細い糸で密度の細かい織物が主流になっています。
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