梅雨が明けて、本格的な夏がやってきますと、体力が低下し、食欲もどうしても落ちてしまいます。夏バテがひどくなり、胃の働きも鈍ってしまい、脂の強いものが食べられなくなるという人も多いのではないでしょうか。そんなとき、冷たいそうめんならばいくらでも食べられそうな気がします。
夏の風物詩、そうめんを冷たくしていただく際、欠かせないのがバラエティに富んだ薬味の存在です。そうめんの薬味は、単なる添え物のレベルにとどまるものではありません。
むしろ薬味が豊富にあるからこそ、そうめんを、たとえ毎日でも飽きずにおいしくいただけるのです。毎日同じ薬味でしたら、すぐに耐えられなくなることでしょう。ちなみに薬味とは、漢方の医学用語ですが、文字通り薬の効能がある食材を指します。
そうめんに合う薬味の種類と効用①
ねぎ
出典:写真AC
そうめんの薬味の代表はまず、ねぎです。そうめんの薬味で人気のアンケートを取れば、だいたいねぎが1位となります。ねぎは、日本全国で栽培されている野菜で、東日本を中心とした白ねぎと、西日本を中心とした青ねぎでもその風味は大きく異なります。
白でも青でも、そうめんならどんな地域のねぎでも薬味としておいしくいただけます。ねぎの産地は、生産量の多いほうから、千葉・埼玉・茨城・北海道・群馬で、関東地方が目立ちます。確かに、埼玉の深谷ねぎ、群馬の下仁田ねぎなどは甘さがあって名産品です。
青ねぎとしては、博多万能ねぎなどがよく知られています。ねぎには、抗菌作用、抗酸化作用、殺菌作用、疲労回復作用がありますので、食中毒がはやり、体力が落ちる夏には最適の薬味でしょう。ビタミンCも多く含まれています。喉にもよく、夏風邪にも効くことが古くから知られています。
そうめんに合う薬味の種類と効用②
みょうが
出典:写真AC
みょうがは、食べると物忘れをするなどといいますが、もちろん俗説です。むしろ集中力を高める成分が含まれています。みょうがは日本特有の野菜で、食物繊維を豊富に含んでいます。
高知・和歌山・奈良などが、みょうがの代表的産地です。みょうがは胃の働きを活発にしますので、消化促進作用があります。食欲不振でそうめんしか食べられないという人にとっては、ぴったりの薬味でしょう。
そうめんに合う薬味の種類と効用③
しそ(大葉)
しそ(大葉)も、薬味としておなじみですし、そうめんにもよく合います。葉のままでもおいしいものですが、刻むとそうめんにぴったりで、他の薬味と組み合わせた際の相性も抜群です。しそには赤紫蘇と青紫蘇とがありますが、青紫蘇の若葉が大葉です。
独特の香りからも、しその防腐作用と殺菌効果は、古くから知られていました。お刺身の下に敷く、ツマとしてもぴったりですが、もちろん単なる飾りではありません。食欲増進作用や抗酸化作用があって、食中毒の予防にもなるのが大葉です。栄養分では、βカロテンが豊富で、活性酸素除去機能があります。
そうめんに合う薬味の種類と効用④
山椒
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山椒は、先に挙げた人気の薬味と比べますと、少々影が薄そうに思えます。薬味になにを使っても自由で、辛さのある山椒も、食が進んでなかなかよいものです。山椒は果実や芽など、食用にする部分が様々です。
山椒の実もそのままで薬味になりますし、実の皮を乾燥させた粉末(粉山椒)も、さまざまな料理に掛けて使えます。温かい麺に粉山椒を掛けてもおいしいですが、冷たいそうめんの薬味としてもぴったりです。
山椒は古くから香辛料として使われてきました。山椒はビタミンAが豊富で、胃腸の機能向上や食欲増進の効能があります。山椒は近畿地方に産地が多く存在します。