香木とは?|でき方や種類、伽羅・沈香・白檀も紹介

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香木(こうぼく)とは、広い意味では良い香りを放つ樹木、その樹木からの木材、またはその樹木より採れる香料のことですが、一般的には伽羅(きゃら)・沈香(じんこう)・白檀(びゃくだん)の3つを指します。 削って細片にして薫香料として焚いたり、様々な物に加工されたりします。

香木の最古の記述は日本書紀で、推古3年(595年)に淡路島に漂着した流木で、島人が火にくべたときに立ち上った芳香に驚き帝に献上したところ、聖徳太子が「沈香」であると教えたとあります。 日本では産出されず、東南アジアなどの熱帯地方原産です。

香木のでき方


出典:写真AC

ジンチョウゲ科の沈香の原木には香気がなく、老木や倒木、枯木などの樹木の中に生成された樹脂が凝結し、樹木自体は枯れていく中で長い年月の間に酸素に触れずに熟成され、香りを発するようになります。 この樹脂は動物や虫に傷つけられたり強風に煽られたりしてできた傷を、樹木自ら治すために浸出したものです。このようにして香木ができます。

原木は軽いですが樹脂の部分が重く水に沈むので、沈水香木または沈水香とも呼ばれ、そこから沈香といわれるようになったようです。 伽羅は沈香と同じ過程で作られます。 ビャクダン科の白檀は芳香をもつ樹幹から心材を割り出し、乾燥した後に更に割ったり刻んだりして使います。

香木の用途

香道で用いられる他に、仏像や数珠、線香、焼香などの仏具や棺、櫛や扇、額縁、彫刻用の材料としても利用されます。特に白檀は加熱しなくても香るのとその堅さから、幅広く使われているようです。

小さな巾着袋に香木の破片を入れた匂い袋を箪笥に入れて衣類に香りを移らせたり、バッグの中に入れて持ち歩いたり、名刺や手紙が微かに香るよう、少量の香料を紙に包んだ文香と呼ばれるものを名刺入れや手紙に添えたりします。

また、あるいはルームフレグランスと同じように部屋の香りを楽しむために使用したりと、最近では日常の暮らしの中に香木の香りを取り入れる人も増えています。

贈り物にも喜ばれているようです。 また、寺院で厠(かわや)を出てからの手洗いの後、清めるために手で触れたのが香木といわれています。

香木の相場・伽羅とは


出典:写真AC

値段が低い方から、白檀、沈香、伽羅の順になります。 香木の値段は高価ですが産地や銘柄、品質による差が大きくなっています。白檀と沈香は1g数百円から数千円程度が多いようですが、伽羅になると1gで数千円から数万円するようです。

それぞれの成分が配合されたお線香やお香などの商品は多いのですが、香木の原木は年々手に入れるのは難しくなっています。特に伽羅については、希少過ぎたり高価過ぎたりで、取扱いがないと表示を出す店もあります。

また、香木の香り成分を含むオイルに木片を漬けて、天然伽羅として高額で販売しているところもあり、購入するときには注意が必要です。

沈香の中でも最上品のものを伽羅といい、木の質や香気、油の質の違いによって区別されるようです。 非常に長い年月をかけて香りが生成されるため、とても複雑で深みのある、バランスの良い芳香を持ちます。乱獲の影響からか産出量が僅少で、供給も減少の一途を辿っている大変貴重なものです。

かつては天皇や将軍などの最高権力者、貴族や高僧といった人々しか手に取れなかった最高級品で、産地も沈香は東南アジアのベトナム、カンボジア、インドネシア、ミャンマー、ラオスなどですが、伽羅はベトナムの限られたところになります。

香木の魅力


出典:写真AC

木の成長や衰えと共に、長い年月をかけて少しずつ作られた香木の香りは、何事もスピードが優先されるような現代では、とても貴重なものといえるでしょう。優しく安らぐ香りを生活の一部に取り入れれば、自分のペースを取り戻すことができそうですね。是非、香木の香りでリラックスしてみてはいかがでしょうか。

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