夏の風物詩、金魚すくい
夏といえば金魚すくいがあります。お祭りでは、いつも人気の金魚すくいですが、捕まえるのにコツが必要です。ポイを使用した場合のちょっとしたコツで、捕まえやすくなるなど、奥が深い金魚すくいです。毎年、金魚すくいの大会が開かれています。金魚すくいには人を惹きつけるものがあるのです。
もう2003年の古い話ですが、金魚すくいの本場、奈良県大和郡山市の大会で競技の不正が発覚し、そこまでするものかと世間が騒然としたことがあります。不正の手段は、金魚すくいに使う「ポイ」を隠し持っていたことでしたが、不正を働いた男性は失格・永久追放となりました。
不正を働くのはもちろんいただけませんが、そうしてでも勝ちたくなるのであれば、金魚すくいも立派なスポーツといえるのかもしれません。
金魚すくいはいつから始まったのは不明ですが、江戸時代後期には間違いなく行われていたようです。当初は網で金魚をすくっていたようですが、これだと弱ってしまうということもあってか、明治時代には紙の網、現在のポイの前身が誕生しています。
金魚すくいの起源
出典:写真AC
金魚すくいは縁日では大人気のコーナーです。泳ぐ金魚は子供たちにとってはとても楽しいもので、金魚すくいで獲れた金魚を持ち帰れるのも人気のポイントです。金魚は観賞用の魚として、江戸時代から、また現代でも根強い人気があります。
もともと、金魚は中国でフナが突然変異をして赤くなってしまったものを品種改良して現在のような姿かたちになったという起源があります。
日本に金魚が伝わったのは室町時代で、当時は大変な高級品でしたが、江戸時代になると金魚の養殖がおこなわれるようになります。
その結果、もともと高級品だった金魚がより安価になり、江戸の庶民の間で広まっていったというわけです。
現代のまつりで行われているような「金魚すくい」の具体的な起源は諸説ありますが、木の桶に入れられた金魚を掬う様子が江戸後期の浮世絵に描かれていることから、先ほど述べたように、その時期に今の金魚すくいの原型ができあがったのではないかということがあります。
金魚すくいは、目に楽しく、自由に泳ぐ金魚を捕まえてみたくなるのは人間の本能なのかもしれません。金魚は中国では、「金余」と発音が同じで、お金が余る金運魚として縁起がいいとされています。
金魚すくいで用いられる「ポイ」の語源
出典:写真AC
金魚すくいと言えば、その独特の道具「ポイ」です。なぜこう呼ぶのでしょうか。はっきりとした由来は不明ですが、「ポイっと捨てる」などの動作から来ているようで、全国金魚すくい大会事務局ではこのような解釈をしています。
ポイはプラスチックでできた枠に和紙を張り付けたものです。和紙には様々な厚さのものがあり、薄いほうが当然、金魚すくいの際の難易度は上がります。ちなみに、和菓子に使うモナカ(またはウェハース)でできたポイもあります。
金魚すくいの金魚は品種改良されたものだった!
出典:写真AC
金魚すくいにてよく見かける金魚は、金魚すくいのために、フナの突然変異を人為的に改良したものですから、見た目が重視されます。金魚といえば一般的には赤いイメージですが、いっぽうで黒い出目金もよく知られています。他にも金色、茶色など色も様々ですが、この色の違いはどこにあるのでしょうか。
金魚はもとがフナですので、生まれたときは黒色をしています。これが徐々に褪色現象を起こして色が変わっていきます。褪色(たいしょく)とは文字通り色が褪せることで、つまり赤い金魚は黒い金魚の色が褪せたものなのです。
ですから、一般的に黒い金魚として認識されている出目金も、褪色を起こして金色になってしまうことがあります。いずれにしても、金魚は自然に生まれたものではないので、管理を疎かにするとすぐに先祖帰りして黒くなってしまうようです。金魚すくいで見かける金魚は、しっかり管理されて飼育されたのです。
金魚すくいのコツは「ポイ」を初めに濡らしてしまうこと!
出典:写真AC
不正事件にも見られますが、金魚すくいが上手い人は大変尊敬されます。そんな金魚すくいにも秘訣がありますので、紹介いたします。
まず、ポイの裏表を間違えないようにしましょう。表とは、枠が出ていないほうの側です。裏を使うと、紙と枠との接着面に水圧がかかりやすくなります。次に、ポイの和紙は最初に濡らしてしまいます。少しずつ濡らすのはNGで、そうっと、しかし一気に全面を濡らしてしまいましょう。
そして、金魚すくいの水中でポイを動かす際は、必ず斜めにゆっくり動かします。水圧を避けるためです。同じ理由により、金魚を追いかけてはいけません。
水面近くにいる金魚は酸欠状態で弱り気味ですから、これを狙いましょう。ゆっくりポイを動かして金魚を壁際に追い込み、金魚の頭・側面からポイに載せ、斜めに引き上げると取れます。