十六夜の月の特徴
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十六夜の月は、満月のようにまん丸ではなく、少し欠けた形になります。月が最も美しく円を描き、輝いて夜空に浮かんだ状態が満月です。とはいえ、実際には旧暦の14~17日頃が満月となりますので、必ずしも十五夜が満月を意味しているとは限りません。
また、十五夜が満月にあたったとして、翌日の十六夜は、ほんのわずか欠けるだけで、肉眼では前日の満月との差はあまり感じられないでしょう。
十五夜の翌日に、少しだけ遅く、遠慮がちに姿を現し始めた十六夜の月。前夜の月と比べると欠けてはいますが、満月に負けず劣らずの美しさを持っています。
2019年の十六夜はいつ?
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一般的に、十五夜の月は旧暦8月15日の夜の月、十六夜の月はその翌日の旧暦8月16日の夜の月のことを指します。
しかし、十六夜は陰暦16日の夜、またはその夜の月のことも指すので、年に1回だけではないのです。
2019年の十六夜の日程はこちら。
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1/22
2/21
3/22
4/20
5/20
6/18
7/18
8/16
9/14
10/15
11/13
12/13
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十五夜は「中秋の名月」が注目されがちなので、旧暦の8月15日だけかと思われがち。
しかし、十五夜も十六夜も、8月15日・16日以外も当てはまるのです。そのため、実はほぼ毎月訪れる十六夜ですが、意識して夜空を見上げたことはないのではないでしょうか?
意外にも、十六夜の月は私たちの身近にいて、その美しい顔を見せてくれているものなのです。
ちなみに、2018年の中秋の名月は9月24日、その翌日の十六夜は9月25日です。
十六夜を詠んだ有名な俳句・和歌
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「十六夜」は、秋の季語とされています。
ほぼ毎月訪れる十六夜ですが、そのなかでも特別な意味を持つのが「中秋の名月」であるため、秋の季語となりました。この旧暦8月16日のことを「十六夜」という季語とし、古くから歌人は歌に詠み、親しんできました。
古今集・万葉集でも、ためらいがちに現れるこの十六夜の月は、「奥ゆかしいもの」「趣深いもの」として歌人たちに愛されてきたのです。
そんな十六夜を詠んだ有名な俳句や和歌をいくつかご紹介します。
「十六夜は わづかに闇の 初哉」
作者:松尾芭蕉
満月にむかって大きくなった月が、十五夜で頂点に達し、翌日の十六夜から少しずつかけていく、闇(新月)へのわずかな始まりだと詠んだ句。
「君や来む われや行かむの いさよひに 真木の板戸も ささず寝にけり」
作者:よみ人知らず
収録歌集:古今和歌集
あなたが来るのか、私から行こうか、そうためらっている様子と十六夜とをリンクさせて詠んでいる歌です。
今夜はゆっくり月を眺めて
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十六夜とはつまり、十五夜の翌日。
その日にためらいがちに少し遅れて顔を出す月のことを意味し、指していました。十六夜という言葉は「いざよう」が語源です。しかし、この「いざよう」という言葉、現代ではあまり頻繁に使うものではありません。
「進もうとしてもなかなか進めず、止まりがちになる」、そんな意味が「いざよう」には含まれています。
現代では止まりがちになることや、なかなか前に進めないことと言うと、焦りやマイナスのイメージを付加して考えてしまいがちです。
しかし「いざよう」その時間や様子に、昔の日本はある種の奥ゆかしさも見出していたのかもしれませんね。 月を楽しむのは、満月の夜だけではありません。満月に向かってどんどん満ちていく様子も、満月から新月に向かって少しずつ欠けていく様子も、それぞれの美しさや魅力があるのです。
古く日本では、十五夜や十六夜だけでなく、十九夜や二十三夜など、特定の月齢の月が出るのを待ちながらみんなで飲食をするお月見の風習「月待ち講(つきまちこう)」というものがありました。江戸時代では、月を待ちわびるのを口実に、秋の夜長の大宴会を行っていただのだとか。花より団子と言いますか、飲む口実が欲しかったのかもしれませんね。
現代では、もしかしたら月をみる余裕さえもなくなっている人も少なくないかもしれません。ぜひ今夜は夜空を見上げて、ゆっくりを月を眺めてみてくださいね。
お月見はお酒ではなく、家族団らんの口実としてもいいかもしれませんよ。