あなたは正しく使えてますか?「奥ゆかしい」の意味・使い方をチェック!

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「あの奥さんはいつもご主人を立てていて、陰ながらサポートに徹している奥ゆかしい女性だ」というようなときに用いられる、「奥ゆかしい」という言葉をご存知でしょうか。

日常会話でもよく使われる言葉ですよね。実は、本来の意味とは若干異なる内容で使われるケースが多い言葉でもあります。そのため、今一度、意味をきちんと確認しておいた方がよいのです。

こちらでは、奥ゆかしいという言葉の意味や由来、使い方などを紹介します。類義語や対義語、英語での「奥ゆかしい」の使い方もご紹介するので、ぜひこの機会に意味をしっかりと理解してみてくださいね。

【意味】 奥深さや品性が感じられて慕わしい、心遣いや気配りが行き届いていること。心がひかれて、さらに深く知りたいこと。
【由来】 中世日本語の「知りたい」「興味がある」という意味の「ゆかし」という言葉から。
【類語】 「麗しい」「しとやか」
【対義語】 「でしゃばる」
【英訳】 「beautiful」「graceful」「modest」「discreet」

「奥ゆかしい」の意味・使い方


出典:写真AC

「奥ゆかしい」という言葉には、大きく分けて2つの意味があります。

まずひとつ目は、「奥深さや品性が感じられて慕わしい、心遣いや気配りが行き届いている」といった意味。あまり表だって自己主張をしない様子から、「慎み深さ」や「上品さ」というニュアンスが加えられた言葉です。

また、ここから一歩進んで、「心がひかれて、さらに深く知りたい」という意味もあります。現在では、前者の使い方で奥ゆかしいという言葉を用いるケースがほとんどです。

しかし、そもそも「ゆかしい」という言葉に「行きたい」という意味があります。そのため本来、奥ゆかしいという言葉は「奥に行きたい」、つまり「もっと先に進みたい」という言葉の成り立ちになっていますので、後者の意味が語源に近いといえます。

なお、「奥床しい」と漢字で表記することもありますが、これは読みにあてはめた感じであり、本来は「奥ゆかしい」とひらがなで表記します。

奥ゆかしいという言葉自体は、女性に用いることがほとんどです。特に、上品さや気づかいなどを称賛するときによく「奥ゆかしい」という表現が用いられます。

例えば、「あの女性は、社外から戻った人にはいつも黙っておしぼりとお茶を差し出してくれる。わざわざ声をかけることもせず、奥ゆかしい行動だ」。このように、周囲にアピールせずに見せる心配りがこの言葉に該当するのです。

一方、人だけでなく、より興味を引き立てるものに対して用いることもあります。例えば、「この陶器は、ほかの産地では見られない色合いが非常にすばらしい。いつまで眺めていても飽きない奥ゆかしさがある」。このように、興味をよりかき立てる対象に用いることもできます。

「奥ゆかしい」の語源

奥ゆかしいという言葉の語源は古く、どちらの意味であっても、平安時代の文学作品にまでさかのぼります。品がある女性という意味で使われているのは、『源氏物語』の「賢木」の章。もっと知りたいという意味で使われているのは、『大鏡』の一文です。

いずれも平安時代を代表する小説・歴史物語。当時すでに「知りたい」「興味がある」という意味の「ゆかし」という言葉が使われていたことを見ても、より控えめでつつしみを感じられる言葉であることが分かります。

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