紅型の筒書き
出典:写真AC
紅型のもう一つの染色技巧である筒描きは、防染糊を筒状の絞り出し袋のようなもので、図案通りに生地にのせていく技法です。型染とは異なって直接図案を布に描いていくため、二つと同じものが作れないばかりか、失敗が許されない作業です。
下書きをしてから糊をのせることもありますし、頭の中で図案を考えたらそのまま糊をのせることもあります。糊が乾いたら小さい刷毛で染料をのせていき、定着させたら洗い流します。
多色使いの紅型になると、この作業を複数回繰り返さなければならないので大変ですが、型染にはないおおらかでのびやかな仕上がりが魅力です。
紅型に使われる模様
紅型に使われる模様は、他の着物の柄と比べるとあまり季節感がありません。沖縄の風土が年間を通して暖かいこともあり、古典紅型には王族の衣装向けの鳳凰や龍の他、雪輪や松竹梅、山水、流水など様々な自然文様が用いられていました。
その後、芭蕉や貝、海藻、家並みなど沖縄らしい柄も次第に増えていき、近年ではハイビスカスやヤシの木といった南国らしい文様も積極的に取り入れられています。
紅型に使われる色
紅型は華やかな色彩が魅力ですが、基本的には赤、黄色、青、紫、緑の5色を用いています。鮮やかな染料を用いた着色と、濃い色で立体感を出した隈取が特徴的です。
いずれも天然の顔料と植物染料を組み合わせており、発色がよく、染まりにくいものの太陽光による色落ちがしにくいという特徴を持っています。これも、色彩豊かで太陽の光が強い沖縄ならではの染色技法として発展していったためです。
紅型の魅力
出典:写真AC
紅型の魅力は、力強い色彩と繊細で上品な模様の組み合わせです。着物の格式でいえば普段着の小紋に該当しますが、小紋の中では比較的格が高くなりますので、ちょっとした外出であれば着用もできます。
ただし、上品で無難な一般的な着物と比べると、場の雰囲気に合わせながら個性的な着こなしというのは着物上級者向けになりますので、呉服店や着物に詳しい人と相談しながら組み合わせを選んだ方がよいでしょう。若い人が着用すると華やかに、年を重ねて上品に着こなすとワンランク上のお洒落になります。