【晴れの願い込めた人形】てるてる坊主の由来や”正しい”作り方|左目は書かない?

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てるてる坊主の作り方


出典:写真AC

てるてる坊主を作るときに気をつけなければならないのは、必ず白い紙または布で作ることです。昔、日本では長雨のときには白い馬を、干ばつのときには黒い馬を描いた絵馬を奉納して祈ったので、黒い紙か布で作ると雨が降ると言われています。

また、現在は軒下や窓際に吊るすことが多いてるてる坊主ですが、本来は南天の木の下に吊るしていたようです。南天は中国原産で、悪霊を払う霊力があると信じられていました。

名前から難を転じるとされ、家の鬼門にも置いたこともあったようです。 吊るす方角は南がいいとされ、空が見える場所に飾ります。 現在の一般的な作り方としては、次の様になります。

①四角形の紙か布の真ん中あたりに芯(しん)を入れ、丸く形作られるように縛って頭にします。芯材は丸くなればいいのでティッシュでも何でも大丈夫です。 (顔を描く場合は滲むペンを使うと雨が降るといわれるので、避けた方が良さそうです)
②まとめた頭以外はスカートのように広げ、人形の形を整えます。
③人形の後ろに、紐をつけます。このとき、紐の先に洗濯挟みをつけると部屋の中の吊るしたい場所に挟んだり引っ掛けたりできるので便利です。 (頭を形作ったときの紐でそのまま吊るさないようにします) 

てるてる坊主の顔を描くタイミング


出典:写真AC

てるてる坊主の顔ですが、大きく分けると左目だけは願いが叶うまでは書かないとするものと、最初から顔自体書かないとするものとの2つの説があります。 昔の祈祷行事のときには瞳を書かず、晴れて祈祷が成功した場合に書き入れたようです。

江戸時代後期の日本の風俗習慣について書かれた本には、祈った結果晴天になれば瞳を書き入れ、雨の場合は書かないとあります。

てるてる坊主の処分方法


出典:写真AC

祈祷後のてるてる坊主ですが、晴天になったときだけ瞳を書き入れて、神酒を供えたり、頭から酒を注いでやったりして川に流すと記されていて、雨だったときには瞳を書かずにそのまま川へ流す、という作法が記録として残っています。

けれども現代では環境への影響が大きいので、ゴミとして捨てることしか処分方法はないようです。しかしながら神仏と同じように祈るものですし、おまじないは「御呪い」とも書き念が入るものですから、神社や寺に持っていきお炊き上げをするなど、できる限り大切に処分するということは必要なようです。

また、てるてる坊主の歌のように晴れたら金色の鈴や甘い飲み物を供えたりしても良いかもしれません。

天候の期待を願うてるてる坊主

てるてる坊主は何の変哲もない、誰もが気軽に作れるような人形ですが、昔の人々にとって天候とは命や生活を支配するものであり、その天候への恐れや期待を込めて作られた人形なのだと思います。

天候が生活を左右するという点は、現代も変わりはありません。 たかが人形、されど人形。長い夜にはてるてる坊主に纏わるお話に、想いを馳せてみませんか。 

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