【自然な甘さが魅力】長崎の五島列島名物「かんころ餅」その名の由来とおすすめ商品

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「かんころ」とは長崎五島列島の方言で、 皮をむき、薄く切ったサツマイモを茹でて、天日干しにしたものを指します。 「かんころ餅」とは、「かんころ」ともち米を蒸して一緒について、 蒲鉾のような形に作ったお餅のことです。

もともとは五島列島に住む人たちの、 冬のあいだの保存食や正月用の食べ物として作られていましたが、 今では五島列島をはじめ、長崎の名産品となっています。 原材料は、サツマイモともち米がメインになりますが、 島によってはそこにゴマやショウガ、ヨモギなどが入ります。

サツマイモともち米の比率によって、 食感や味にも違いが出ます。 もともとはサツマイモともち米だけで作られていたかんころ餅ですが、 最近は砂糖などで甘みをつけたものも出回るようになり、 サツマイモ本来の甘味を生かしたものが少なくなりつつあるようです。 サツマイモの割合が多いと、甘味にコクがあります。

色は使われるサツマイモの割合によって微妙に違いがあるもの、 だいたい淡い灰色がかった緑色といった感じの色をしています。 やわらかいうちは手でちぎって食べ、 固くなると、お好みの厚さにスライスし、 オーブンで焼いて食べます。

人によっては焼きたてがいいという人と、 焼いてから少し冷まして食べる方がおいしいという人がいます。 かんころ餅は、五島列島だけでなく、長崎の人々にとって、 子どものころから親しんだ食べ物の一つです。

かんころ餅の歴史


出典:写真AC

先にも述べましたが、かんころ餅は、 もともとは五島列島に住む人たちの、 冬のあいだの保存食や、 正月用の食べ物として作られていました。 お米が非常に高価で貴重だった時代、 芋を混ぜることでかさ増ししました。

米を自由に食べられず、米のかわりにサツマイモを食べるしかなかった時代の名残ともみられ、 もち米にサツマイモをまぜて作る製法は日本各地に存在します。

かんころ餅の原料にもなっているサツマイモは中南米が原産地で、 スペイン領だったフィルピンのルソン島から中国を経て、 1597年に宮古島に伝わり、その後琉球、薩摩、本州へと伝わったとされています。

かんころ餅は、元来、各家庭で作られて、家庭の味として伝えられてきたものです。 このため、製造や製造地域の歴史的な背景はあまりわかっていません。

晩秋の、大陸から九州西岸に西風が吹きだすころになると、 サツマイモを干す風景が五島のあちらこちらで見られるようになります。 この風景を目にすると、長崎の人、特に五島の人たちは、 「ああ、正月(あるいは冬)がくるな」と思うようです。

かんころ餅の原料と作り方


出典:写真AC

地元では11月ころ、洗ったサツマイモの皮を剥き、薄く切って、茹でます。 茹でたスライス状のサツマイモをかんころ棚とよばれる棚にきれいに並べ、天日で干します。 干す期間は決まっておらず、 イモがカラカラに乾くまで干すのが一般的です。

だいたい一週間から10日ほどです。 天日に干してカラカラになった干しイモを、蒸篭(セイロ)の中に敷きつめます。 敷きつめたサツマイモの上に、今度はもち米を加えて一緒に蒸します。 もち米は、蒸す前に洗って、一晩水につけておいたものを使います。 干しイモも水につけておきます。

もち米とサツマイモの割合は、作る人の好みにより特に決まっていません。 もち米の重さ「1」に対し、サツマイモ「3」くらいが一般的です。 蒸しあがったもち米とサツマイモを、容器に移し、手早く混ぜ合わせ、練ります。 かんころ餅は保存食として作られた歴史があるため、 地元では作るときは一度にたくさん作ります。

練りあがると、砂糖やその他のアクセントとなる材料を、 練りあがったものに混ぜ合わせる作業をします。 この作業で再びよく練ることで、餅の弾力や食感に違いが生まれます。 練りあがったものを、打ち粉をふるって人の手で延べ板状に形をととのえていきます。 できたてはやわらかく、そのまま食することもできます。

後で食べる分は、袋に入れて冷凍保存し、食べるときに半解凍して、 スライスし、オーブンで焼いて食べます。 (自然解凍でそのまま焼かずに食べることもできます) スライスする厚さは人それぞれで特に決まっていませんが、だいたい1~2㎝くらいです。

個人でかんころ餅を作る場合も、工程はほぼ同じで、 干しイモともち米、餅つき機があれば、 自家製かんころもちを作ることができます。 干しイモともち米を蒸すときに、 干しイモは蒸しやすいように細かく切っておいたほうがよいでしょう。 もち米を先に入れ、後から干しイモを入れます。

蒸しあがったら、お好みで、砂糖やゴマを入れ、撞きのスイッチを押します。 (もちろん、砂糖はやゴマは入れないでもいいです。砂糖を入れる場合、 もち米3合なら20gくらいがよいでしょう) 餅つき機で撞き終わったら、あらかじめ粉をふっておいた台の上に、 取り出したものを置き、手で延べ板状に整えてできあがりです。

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