日本を代表する木の種類その5<ヒバ>
出典:写真AC
ヒバはヒノキ科アスナロ属アスナロとなります。「ヒバ」は青森県の呼び名で、石川県では「アテ」、岩手・山形件では「クマサキ」と呼ばれています。
ヒバは栃木県の日光付近を南限とし、北海道の渡島半島南部を北限とします。ヒバは主に建築用材として、特に住宅の骨組みの部分である土台と柱に使用され、他にも、漆器、桶などに使用されています。ヒバは湿気に強く非常に腐りにくい、優れた耐久性・耐朽性を持っています。
ヒバはスギ、ヒノキに比べると蓄積量が少なく、変種があり、シロアリに強いという特徴を持っています。
日本を代表する木の種類その6<アカマツ>
出典:写真AC
アカマツはマツ科マツ属の常緑針葉樹となります。Japanese red pineと呼ばれており、日当たりの良い場所を好み、種から初めの2〜3年は成長が鈍いですが、以後急に伸びる特徴を持っています。アカマツは主に本州、四国、九州に生育しています。
アカマツは土中でも腐りにくい性質で、それを活かした土中杭として利用されています。その他、建築、建材、器具、車輪、土木、船舶、パルプにも使用され、また、樹形をコントロールしやすいので、庭木・盆栽としても利用されています。
アカマツの心材は黄を帯びた赤褐色で辺材は淡黄白色(心材の区別はやや不明瞭)をしています。油分を多く含み、手入れをしていくことで飴色に変化していく特徴を持っています。重硬で加工性は普通ですが、やや狂いはあります。
今回紹介している木の種類の中では建材として使いやすいとは言い辛いですが、土中で腐りにくい特徴を持っており、特異的な用途で使用されると言えます。
様々な木の種類を比較してみよう
では、上記に挙げた6つの木の種類を比較してそれぞれどのような特徴があるのか、どんな分類ができるのかを見てみましょう。
木の種類 | 生育地域 | 葉の種類 | 加工性 | 狂い |
---|---|---|---|---|
スギ | 本州北端から屋久島 | 常緑針葉樹 | 良い | なし |
ヒノキ | 本州中部(福島県)以南から九州 | 常緑針葉樹 | 良い | 少ない |
マツ | 熱帯地域~冷帯地域 | 常緑針葉樹 | 良い | 少ない |
ブナ | 北海道南部、本州、四国、九州 | 落葉広葉樹 | 良い | あり |
ヒバ | 北海道~栃木 | 常緑針葉樹 | 良い | 少ない |
アカマツ | 本州・四国・九州 | 常緑針葉樹 | ふつう | ややあり |
いかがでしょうか。それぞれの特徴が表れています。高級木材とよばれているだけあって、ヒノキ・マツ・スギは加工性・狂い共に良い評価です。
本文にもありましたが、表中にも出てくる「狂い」とは、樹木が成長するときや乾燥させたときに生じる「反り」や「ねじれ」のことを指しています。こうした木材を使用してフローリングなどにしてしまうと、時間の経過とともに床が変形したり隙間が出てきてしまうのです。
たくさんの木の種類が存在する、日本の風土・森林の魅力
日本の国土の3分の2を占める豊かな森林を育む重要な条件はモンスーン気候で、それに地理的な環境などが加わって独特で様々な木の種類が生育してきました。地球上で、亜熱帯から亜寒帯までの連続した植生の変化が見られる場所は、日本のあるユーラシア大陸の東側地域しかありません。
森と人間の深いつながりは、神話の時代から途切れることなく続いてきました。豊かな漁場や稲作などの食物生産、住宅などの豊かな生活文化を育んできた背景には森林の存在が欠かせません。
例えば、稲作に欠かせない水も森林が保水し生み出した湧き水を起源としています。また、組子や障子等の建築装飾や建築材として人々の住まいにおいても、様々な木の種類が使われており、森林と人との繋がりは続いています。
日本文化に根付く、木の種類や森の魅力について少しでも興味を持っていただけたら、週末にでも近くの森や工芸品市場に足を運んでみるのもいいかもしれません。