森林大国と呼ばれる日本には、ヒノキや杉、松をはじめとした木の種類が豊富に存在します。木材は人間・動物の生活にとってなくてはならない資源です。実際に、見渡してみると私たちの周りには木でできたものがたくさんあります。そこで、今回は日本にどんな種類の木が存在するのかをご紹介します。
森林大国である日本
はじめに述べたとおり、日本は森林大国です。木を使った工芸品が古くから発達日本はほとんどの地域が温帯に属し、ケッペンの気候区分では温暖湿潤気候か冷帯湿潤気候に属していることもあり、比較的多くの木の種類が混在した国家となります。
実際、国土面積のおよそ70%が森林であると言われており、実に木に恵まれた国なのです。また、古くから木を使った工芸品が日本全国で発達しており、中には経済産業大臣指定の伝統的工芸品として登録された木製工芸品も存在しています。
例えば、北海道の二風谷イタや兵庫の豊岡杞柳細工等があります。工芸品には様々な木の種類が使われています。
では、さっそく日本の主要な木の種類を見ていきましょう。
日本を代表する木の種類その1<スギ>
出典:写真AC
本種は単型であり、本種のみでスギ属(Cryptomeria属)になります。スギは多くの地域品種が存在しており、天竜杉、屋久杉、立山杉、吉野杉、北山杉、秋田杉、山武杉等が有名です。
スギは本州北端から屋久島まで自生します。また北海道各地にも広く造林されており、沢沿いなど比較的水分と栄養分に富む環境を好む傾向があります。用途としては主に住宅の柱材として利用されます。その他の用途としては、建築、建具、土木、船舶、車輛、家具、器具、樽として使用されます。
その際には伐採して製材後に乾燥する必要があります。角材の乾燥時に問題となる心材の含水率もヒノキ等と比較して高いため、変異幅も大きいです。含水率材は50%のものから200%に達する高含水率の材質も存在し、スギ利用上の課題の1つとなっています。
日本を代表する木の種類その2<ヒノキ>
出典:写真AC
ヒノキ科ヒノキ属の針葉樹となります。ヒノキは日本と台湾のみに生育しており、本州中部(福島県)以南から九州まで分布しています。ヒノキは古くから建築用材として用いられており、特に寺院、神社の建築には必須材質でした。
正しく使われたヒノキの建築では1000年を超える寿命を保つ建物も存在します。現在でも、一般家庭でも多く利用されており、特に和式建築物において高級材として使用されています。ヒノキは材質が軽軟で肌目は緻密で特有の芳香と美しい光沢を持っています。
弾力性、靱性に富み、狂いが少なく加工性・耐久性に優れています。更に耐湿・耐水性にも強く、保存性が高いです。
今回紹介する木の種類の中では、全ての面で優れた性質を有する万能型の材質と言えるでしょう。
日本を代表する木の種類その3<マツ>
出典:写真AC
マツは、マツ科の属の一つでマツ科のタイプ属となります。マツ属はインドネシアのような熱帯地域、カナダのような冷帯市域等、広範囲に亘って生育しています。マツは建築、土木、船舶材、線路の枕木等に使われます。
マツの心材は淡褐色で辺材は黄白色です。またアカマツよりも重硬で、水や湿気に強いですが、節が多く、やにつぼがあるので割れやすくて仕上げしにくい側面もあります。また、今回の木の種類の中では、スギやヒノキと比べて耐腐朽性に劣るとされており、使いどころを選ぶ必要があると言えます。
一般に二葉松は建材として柱や梁に用い、より軟らかい五葉松類の材は水道用木管、木型、曲物、塗物の下地など柱と比べて高度な加工が必要なものに用いられます。
日本を代表する木の種類その4<ブナ>
出典:写真AC
ブナはブナ科ブナ属になります。落葉広葉樹で、温帯性落葉広葉樹林の主要構成種です。大きいものは高さ30mにも達するものがあります。ブナの樹皮は灰白色できめが細かくなっています。日本では北海道南部、本州、四国、九州に広く分布し、低山の照葉樹林帯と亜高山の針葉樹林帯の間にはブナ林が存在しております。
ブナは曲げやすいという特徴を活かした椅子の脚等の家具に使われます。その他としては建築内装材、器具、曲材、合板、船舶、機械、パルプ、スキー板、ベニヤ材、玩具材、楽器の鍵盤、ブラシの柄等に使われております。
ブナの主材は重硬で均質です。また、腐朽しやすく、乾燥の途中で狂いやすいという弱点があります。一方で、重硬ですが粘りがあり曲げやすいという側面を持っています。