【異国情緒溢れる染文様】更紗の歴史や日本の更紗を紹介

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日本の更紗を紹介③

鍋島更紗

他の和更紗とは異なり、鍋島更紗は江戸時代以前から佐賀に伝わる染織品です。朝鮮出兵から鍋島直茂が連れ帰った李朝の工人、九山道清によって安土桃山時代に始まりました。その特徴は、木版と型紙を用いた独特の技法にあります。

模様の輪郭には木型、それ以外には型紙を用いて、何度も繰り返し染め上げていきます。

その精緻な仕上がりから、最高級品として藩の御用達や注文品などに用いられました。道清は庄左衛門と名を変え、その後も献上品を作り続けました。鍋島更紗は佐賀藩によって手厚く保護されますが、明治に入ると廃藩置県により、それも途絶えてしまいます。

しかし鍋島更紗には秘伝書が存在しているため、1960年代にはそれをもとに染織家の鈴田照次が「木版摺更紗」として復興し今に、その技術を伝えています。

異国情緒あふれる更紗の魅力

出典:二葉苑

もともとはインドで生まれた、色鮮やかな木綿布。その豊かな表現力は、世界中に伝わって多くの人を虜にさせてきました。日本でも、江戸時代になるとその技法を真似て、京都や長崎、鍋島などでそれぞれの工夫を凝らした、新たな伝統工芸として変化を遂げていきます。

このような経緯もあって、更紗には異国情緒や時代の空気を取り入れた、とても自由な作風があります。現代にも通じるその細やかな表現を、ぜひ着物や羽織で実際に味わってみてください。

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