縁起物とは
神社や寺の創建や由来を縁起というところから、物事が起こりそうな気配、兆候の由来も縁起というようになりました。
更にその良し悪しを判断するようになり、良い縁起を得られれば幸運が開けて幸福になり、悪い縁起を得てしまえば不運になり不幸になる、とされました。
そして神社や寺で参拝者が神仏の加護を得て良運を得るための物が「縁起物」として売られるようになったのがその始まりです。「縁起物」は神社や寺によく行く正月や節分などの行事を始め、日々の生活に広く浸透しています。
日本各地にある縁起物①
成就いなり(山形)
出典:写真AC
山形県天童市にある真言宗総本山、丹法山成就寺の別院が銀座にあります。 その一階にお寺のセレクトショップ「TERA SHOP GINZA」があり、そこで販売されている縁起物が「成就いなり」です。 この店では全国の寺社から御朱印帳やお守りなど選りすぐりの、浄化と成就をもたらすという品を揃えています。
「成就いなり」は住職自ら米づくりにも携わっていて、すべての事象を含んでできあがったお稲荷さんなので、「成就いなり」と名付けられました。 天童市の日光を浴びた天日干しのお米「天童あきたこまち」と、れんこん・しいたけ・ごまを使用し熊本の歴史ある名産「南関揚げ」で包んだ深い味わいです。 縁起物として、贈答品によく用いられています。
日本各地にある縁起物②
福引せんべい
出典:写真AC
「福引せんべい」は三重県の津市や松阪市で節分の季節限定で厄除けに販売されている小麦粉を使用した甘い三角形のせんべいで、空洞があり、割ると中から玩具や打ち出の小槌やおみくじなどの縁起物が出てきます。
素朴な味を懐かしく思う人や縁起物として購入する人が多く、昔から日本三大観音のひとつとされる三重県津市の津観音の名物だったようです。 この「福引せんべい」を売っている主な店は二つあり、津市は「平治煎餅」、松坂市は「柳屋奉善」になります。
日本各地にある縁起物③
茶柱縁起茶(福岡)
出典:写真AC
昔から日本ではお茶を湯呑みや椀に注いだときに、茶葉の茎が縦に立って浮かんでいると「茶柱が立つ」と言って大変縁起が良いとされてきました。ところが最近では「茶柱」にはなかなかお目にかかれなくなりました。
理由としては、デザインに工夫を凝らしていたり性能を良くした急須の登場や、茶葉や茎を椀に入れない茶こしの使用や、もともと茎が入っている茶葉の需要の減少だったり、人々がお茶を飲む時間自体が減っているなどが考えられます。 ところが今でも縁起の良し悪しに「茶柱」を気にする人は結構います。
そういった背景からか、手軽に必ず「茶柱」が立つお茶が考え出されました。 薬のような見た目のカプセルを割って、中に入っている粉末と茶柱を湯飲みに入れてお湯を注げば、ぷかりと浮いた「茶柱」に頬も綻びます。 福岡の「縁起茶本舗」という会社で「茶柱縁起茶」が販売されています。
また、島根県出雲市の「茶三代一(ちゃさんだい)」というお茶屋さんで「出雲茶柱縁起茶」が販売されています。 縁起物として贈答品用に人気があるようです。
次に紹介するのは、岩手県と広島県の縁起物です。