「唯々諾々(いいだくだく)」の意味と使い方|類語・対義語・英訳

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唯々諾々

【読み方】いいだくだく

【意味】 他人の言いなりになる

【類義語】百依百順、付和雷同、従順謙黙

【対義語】不承不承、是々非々

【例文】 助教は教授に唯々諾々として逆らわないから、どんな理不尽も受け入れる。

唯々諾々とは?


出典:写真AC

「唯々諾々と上司の指示に従う」というような文で使う「唯々諾々」

唯々諾々は「いいだくだく」と読みますが、この四字熟語の意味はご存知でしょうか。今回の記事では、唯々諾々という四字熟語の意味や由来、類義語対義語、英訳などについて触れていきます。

唯々諾々の意味は?


出典:写真AC

「唯々諾々」または「唯唯諾諾」は、他人の言いなりになるという意味です。先の用例であれば、上司の命令が意味のないもの、理不尽なものだったとしても、疑問を挟まず従う様子を指して使います。

「唯々諾々」には、「承諾」の「諾」が入っていますので、「引き受ける」「応じる」といった意味だということはわかるのではないでしょうか。

ですが「唯々」はなんでしょう。「唯」は「唯一」など、「それだけ」や「タダ」という意味で用いる漢字ですが、「諾」と似ている「応答」の意味も持っています。

「唯々」はほぼ「唯々諾々」としてセットで使われますが、結局「唯々」も「諾々」も似ていて、他人に応じるという意味を持ちます。ですが似た言葉を重ねた分、単に応答するというだけではなくて「言いなりになる」という意味が含まれています。

唯々諾々の由来


出典:写真AC

組織の中で、人間関係を重視し、仕事をスムーズに進めることは大変重要です。少々理不尽に思っても、大局を見た上でぐっと堪えて指示に従うこともあるでしょう。ですが、現代における「唯々諾々」という言葉のニュアンスは、決して肯定的なものではありません

考えずに従っている人を批判するような使い方が多いと思われます。由来を見るとこの言葉は、権力者の立場から部下を指示に従わせることの重要性を説いたものです。現在のネガティブなニュアンスはここから当然生まれたものとも、視点が逆転してしまったものにも思えます。

唯々諾々という四字熟語も、中国の古典に由来する故事成語で、「韓非子(かんぴし)」に出てきます。韓非子は、春秋戦国時代の「百家争鳴」といわれる中国思想の全盛期に生まれた思想家・韓非の著作です。

韓非は儒家・荀子(じゅんし)に学んだ人です。性善説の孟子、性悪説の荀子については聞いたことがあるのではないでしょうか。性悪説は決して「人間は悪い者」と言う内容ではなく、法を重視します。

韓非もまた法を重視し、君主の権力を法により体系化しようとしました。これだけ聞くと、人々を苦しめる権力の強化について書かれたものかと思うかもしれませんが、戦乱の世において国の力を強化することは大変切実な問題でした。

韓非子のうち、八つの悪事と、悪事から権力を守る方法について述べた「八姦篇」に「唯々諾々」が初めて登場します。「八姦篇」の二番目、君主側近を利用する「在旁」(ざいぼう)という悪事について触れた箇所に記載があります。

側近はもともと、命令を受けない内から先回りして従う連中ですが、これら側近を利用した悪事を働かせないための対策が書かれています。それは、「側近を実際に働かせる。言葉通りの行動を求める。余計なことを言わせない」というものです。

ですから、「唯々諾々」という言葉は、側近たちを君主の命令通り確実に動かし、権力を保持するための重要な理念なのです。

唯々諾々の使い方


出典:写真AC

現代では、「唯々諾々」は、使われる身に視点が当てられています。ですので、

「親に唯々諾々として従う娘」

「教授に唯々諾々として逆らわない助教」

「きみは上司の理不尽な命令にも唯々諾々と従っているが、本当にそれでいいのか」

などと用います。原義と違い、現代では「考え無しに他人に盲目的に従う」といった意味で用いられますので、あまりいい場面では使われないようですね。

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