「西武ライオンズが開幕8連勝と破竹の勢い」「中国の自動車市場は破竹の勢い」などと、スポーツや産業界の記事においてしばしば使われる「破竹の勢い」という言葉。さて、その意味はご存知でしょうか?
特に考えることなく、それこそ勢いのまま使ってしまうことが多い熟語かもしれません。言葉というものは、きちんとした意味を理解していなくても、雰囲気で使えてしまうことが多いものですが、よく使う言葉こそ、しっかり理解をしておくべきではないでしょうか。
【意味】 | 激しく止めようのない快進撃のこと。 |
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【由来】 | 三国志の呉平定で杜預(とよ)が放った言葉から。 |
【類語】 | 「旭日昇天の勢い」「旭日東天」「飛ぶ鳥を落とす勢い」「日の出の勢い」「昇竜の勢い」 |
【対義語】 | 「見る影もない」「面影もない」「斜陽」 |
【英訳】 | 「with great vigour」「irresistible」 |
破竹の勢いの意味
破竹の勢いとは、激しく止めようのない快進撃のことを言います。
破竹の勢いの由来 ・言葉の背景
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中国の歴史にルーツを持つ言葉を故事成語と言いますが、この「破竹の勢い」もその一つです。この言葉は日本人の大好きな三国志に由来を持っています。といっても、三国志が好きな人でもあまりカバーしていないと思われる時代の物語、三国志の終盤である「呉平定」のエピソードの一つです。
魏・呉・蜀三国のうち、蜀が晋に代わってから時代です。晋の将軍、「杜預(とよ)」が、呉を攻めることを主張するにあたり、以下のように例えました。
「我らの勢いは竹を裂くようなもので、刀を二三節入れれば、あとは手で割れる」。竹の節と、季節の単位である節を掛け、これまでの勢いのまま進軍すべきと主張したのです。
季節が夏になったことで、疫病を防ぐために一度軍勢を引くべきだという意見もありましたが杜預の意見が通り、竹の節のたとえを出して、一気に攻め込むことを決めたのです。この進軍により、晋が天下を統一します。ちなみにこの将軍杜預は、のちの大詩人「杜甫(とほ)」の先祖としても知られています。
破竹の勢いの使い方
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戦乱の時代であれば、地上の軍隊の勢いを指し示すために便利に使えた言葉でしょう。ですが現在では「破竹の勢い」は、スポーツや、特定の分野で急成長した企業グループについて使われることが多くなっています。
例として、「破竹の勢いで急成長するアマゾン」「セレッソ大阪は、リーグ王者川崎フロンターレをスーパーカップでも下し、破竹の勢いにあった」などです。
野球で言うなら、5連勝くらいではまだまだ破竹の勢いというのに適当ではないようで、圧倒的に他と異なる実力を見せつけた時にこそ、使うべきでしょう。