「藪から棒(やぶからぼう)」の意味や使い方|例文も紹介

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「お前が結婚するなんて藪から棒なこと言いだすもんだから、おとっつあん驚いちまったよ!」いかにも江戸っ子が口にしそうな時代掛かったフレーズに「藪から棒」という言葉があります。

現在でも使われている「藪から棒」というこの言葉、上手に使えば粋でイナセな江戸っ子のように会話のテンポが良くなる便利なフレーズです。

藪から棒の意味


出典:写真AC

藪から棒という言葉は突拍子もない言動や意表を突く言動、唐突に起こった想定外の状況を指して使われます。現在の常用語では「突然に」という言葉が最も藪から棒という言葉に近いニュアンスを直接的に表現しています。

言葉には意味を直接的に表現するものと間接的に表現するものがありますが、藪から棒は後者に属すると言えます。

草木が茂る藪の中から唐突に棒が突き出されると人が驚くことから、他人の意表を突く言動を藪から棒と揶揄した当時の日本人の言葉に対する抒情的とも言える感性には驚かされますね。

藪から棒の由来・言葉の背景

藪から棒という言葉は、江戸時代中期には存在していたと言われています。日本の伝統芸能である浄瑠璃は、江戸時代に盛んであった「語りの浄瑠璃」がルーツとなっています。

語りの浄瑠璃作品の1つ「槍の権三重帷子(やりのごんざかさねかたびら)」で「藪から棒と申さうか、寝耳に水とも申さうか」とのフレーズが存在することから、江戸時代中期には藪から棒という言葉が既に使われていたのではないかと考えられています。

町民文化が発達した江戸時代には言葉や仕草、着物や小物などに多くの遊び心が取り込まれています。大都市であった江戸の町で庶民たちに育まれた浄瑠璃のセリフにも粋でイナセな江戸の庶民の言葉が取り込まれたのではないでしょうか。

藪から棒を使う場面


出典:写真AC

現代で使うのには少し時代掛かった表現にも感じてしまう藪から棒という言葉ですが、使うのに適しているシチュエーションをいくつか紹介します。

例えば海外旅行に全く興味が無かった知人から突然、海外のしかも全くマイナーな国への移住の話を聞かされた場合には「ラオスに移住するってまた随分藪から棒な話だけど、ラオスってどこにある国なの?」という風に使うことができます。

また、全く土地勘もスキルがない状態で独立し成功した友人との会話などでも「この場所で店を始めるって藪から棒に言い出した時は驚いたけど、結局成功させたから大したもんだと思うよ」と当時を懐かしむことができます。

他にも、突然借金の依頼を受けた場合にも「そんな藪から棒に〇〇万円貸してくれって言われても、準備できないよ!」など話を断る際にも用いることができます。

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