「雀の涙」の使い方
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では、「雀の涙」とは一体どのような場面で使われるのでしょうか?
意味の説明でも述べた通り、「雀の涙」は物の量を指す言葉なので、なんとなく数を言い表したいときに使います。
例えば、「他の同級生たちと比べて、僕は雀の涙ほどのお給料」という風に使うことができますよ。この場合の意味は、「他の人に比べると、僕はごくわずかしか給料をもらっていない」という意味になります。
今まではお金の量を例に出しましたが、量を表す言葉なので、もちろんお金以外の場面でも使えます。
例えば、「雀の涙ほどの優しさ」というような使い方。これは、直訳すると「ごくわずかなやさしさはある」ということになります。しかし、文章全体の意味を組めば、全然やさしくないことに対する皮肉なんですよ。
このように「雀の涙」とは、マイナスの意味で使うことの方が多い言葉ですが、わずかな量しかないものが理想ならば、プラスの意味にも使用できます。
例えば、「この県では、雀の涙ほどしか交通事故が起きていない」というように使えるでしょう。この言葉は、「わずかな件数しか交通事故が起きていない」という意味です。
しかし、財布の中身が0円のときなど、全くものの量がないときには使用できません。わずかでもそのものがあるときにだけ、使用できる言葉なんです。
日本人なら知っておきたい国語の知識
「雀の涙」の由来
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「雀の涙」という言葉は、何が由来になっているのでしょうか。
「雀」とはもちろん、私たちの暮らしの中でも身近な鳥の「スズメ」のことを指しています。日本中どこにでも生息しているので、おそらく知らない日本人はいないでしょう。
そんなスズメは、鳥類の中でもとても小さい鳥ですよね。スズメほどの体の小さな鳥が涙を流したとしても、ほんのちょっとの量しか流れません。これが、「雀の涙」という言葉の語源になっています。
「そもそも鳥が泣くのか?」と思うかもしれませんが、一応は泣きます。とは言っても、人間のように喜んだり悲しんだり、感情によって涙を流すわけではないのです。目が乾いたときにうるおすためだったり、病気になったりしたときに、涙がでることがあるそうですよ。
「小さな鳥が泣く様子からきているのであれば、スズメでなくてもいいのでは?」と思うかもしれませんね。そこにもさまざまな説がありますが、実は「スズメ」と命名された由来からもきていると言われています。
スズメの「スズ」とは、少ない量を示す「ササ(最小)」という言葉が転じたもの。一方、「メ」とは、鳥のことや群れることを指す言葉だそうです。つまり、「スズメ」という名前自体にも、「小さい鳥」という意味があるのです。
そのため、名前からしても小ささが特徴としてとらえられており、かつ昔から日本人にとってなじみのあったスズメが選ばれているのではないでしょうか。
正しい日本語を使おう!
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今回は、「雀の涙」という慣用句について、その意味や類義語・対義語、例文、語源について詳しくみてきました。
普段何気なく使っている言葉かもしれませんが、あなたは正しい意味を知っていましたか?「言葉の意味は理解していたけれど、まさか雀という鳥が選ばれていることにも由来があったとは知らなかった…」と驚いている人が多いのではないでしょうか。なぜこのような言葉が生まれたのか、その由来を理解するとますます日本語の奥深さが感じられますよね。
日本人として恥をかかないためにも、日本語のよさである慣用句を未来に残すためにも、意味や語源を理解して正しい日本語を使うようにしましょう。