「漁夫の利(ぎょふのり)」の意味や使い方|由来となった故事も紹介

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私達が生活の中で何気なく使っている言葉には、故事によるものであったり、由来が隠れている事があったりするのを皆さんは御存知でしょうか?

日本は歴史を経ながら、私達の祖先は日々使う言語の中に大事な要素を含むものを沢山残していってくれています。

こんな話を見聞きされたことはないでしょうか?

「A子さんとB子さんの二人はC雄くんがとても好きで二人で彼の取り合いをしていたのだけど、ある日いざこざが起こり、C雄くんをめぐりA子さんとB子さんが激しい争いをしてしまったんだよ。ところがそんな争いの間に、急にD子さんが現れ、二人に幻滅したC雄くんはD子さんと結局ゴールインしてしまったんだ。これって漁夫の利だよね。」

漁夫の利の意味


出典:写真AC

ではこの漁夫の利という言葉の意味を一緒に見ていくことにいたしましょう。漁夫の利と言う言葉は、当事者同士が争っているうちに、第三者が何の苦労もせずに利益を得てしまうという様を表しているのです。

現代では、労をせず簡単に第三者が利益を取るという意味合いで使われることが多い言葉でもあります。

漁夫の利の由来


出典:ぱくたそ

さてこの漁夫の利と言う言葉、ちょっと難しそうな表現ですが、どのような由来が隠れているのでしょうか?古代の中国の戦国時代の事をまとめた歴史書に「戦国策」というものがあります。漁夫の利はその史書から来ている言葉なのですが、一体どんな話なのでしょうか?

昔、趙という国がありました。趙の国は燕の国を攻撃しようと考えていました。そんなある日、燕の遊説家である蘇代という人物が趙の国の恵文王に会いに来ます。蘇代は恵文王に次のような話をします。

「ある時貝が殻をあけて日向ぼっこを楽しんでおりました。貝は気持ちがよくて、ぱっくり口(殻)があいてとてもよい気持ちです。そこへ一羽のシギが舞い降りて、貝の身を啄み始めました。びっくりした貝は、いきなり殻を閉じ、シギの嘴を思い切り挟んでやりました。

そこへ一人の漁師が通りかかります。この光景を見た漁師は、貝とシギへ近づきます。しかし争っている双方は漁師に全く気づきません。何の苦労もなく、漁師は貝もシギも捉えてしまいます。」

この話を蘇代から聞いた恵文王はハッと気づかされたのでしょうか?燕の国を攻めるをやめてしまいます。

なかなか面白い話ですよね。それにしても、恵文王を上手く説得した蘇代はとても賢い人物だということも私達に教えてくれます。

漁夫の利の使い方


出典:ぱくたそ

ではこの漁夫の利という言葉はどんな状況で使われているのでしょうか?

次のようなフレーズの中でよく使われます。「選挙になってA党が割れて、どの議員も今、飛ぶ鳥落とす勢いのB党に移ろうと必死になって争って内輪もめをしている間に、選挙に入って結局無難な戦いをしたC党が勝ってしまった。まさしく漁夫の利だよね。」

という状況や、

「この前バーゲンセールで二人のおばさんが一つの商品を巡って取り合いをしていたんだけど、どちらかが癇に触ったことをしたのだろうね。あろうことか、二人のおばさんが商品そっちのけで喧嘩をし始めたんだ。大騒動になり店員さんが止めに入ったんだけど、その間に別の女性がさっと現れて、その商品を持ってレジへ行ってしまったんだよ。この光景が漁夫の利っていうのだろうな。」

というような表現の中で使われます。

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