三々五々の例文
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「三々五々」という語は、人や動物の動きを描写しています。
用例を2つ挙げると、「卒業式を終えて、三々五々帰宅する」そして「十年後の同じ日、タイムカプセルを開けようと約束した木の下に、三々五々集まってくる」。
このように、人が集まるときにも離れるときにも用いられる言葉です。 別れと出会いの季節である春にもぴったりな四字熟語かもしれません。
卒業式を終えて、別れるのは名残惜しいところですが、三人、五人とぽつりぽつりと「三々五々」帰り始めて、やがて教室には誰もいなくなる。
十年後、同じ日に約束の木の下でタイムカプセルを開けようと再会を約して。そして十年後、約束通りに五人、三人と「三々五々」卒業生たちが集まってくる、というような使い方ができます。
現代でこそインターネットやスマートフォンの普及で、時間ぴったりに待ち合わせすることができますが、「三々五々」というと、あまり精密には時間を定めず、暗黙の了解でばらばらと自然に集まり、別れていくさまを表わしています。
江戸時代まで使われていた「不定時法」では、「一刻」といえば現代の「2時間」を指します。
つまり、「おやつ」の語源となった「昼八つ」といえば「午後三時」ではなく、「午後2時から4時までの2時間の間」でした。
「昼八つに日本橋で会おう」と待ち合わせをしたら、とりあえず「午後2時から4時くらいに会いましょう」という、非常にアバウトな意味になったのです。
三々五々の類義語・対義語
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「三々五々」には、明確な類義語や対義語が存在しません。
ただ、上記のような日本人の古くからの時間感覚を考え合わせると、「時間ぴったりに勢ぞろいする」「一斉に解散する」という場合は「三々五々」とはいえず、まったく反対の意味になります。
三々五々から学ぶ
三々五々の意味から学べること このように、ただ漢数字を並べただけの「三々五々」という語には、非常に繊細な人の動きが表現されているのです。
アバウトといえば悪く聞こえますが、よく言えば「含みを持たせている」ということでしょう。
「三々五々集まる」「三々五々帰っていく」という表現からは、日本人らしい寛容で大らかな心性が込められていることが学べます。