釉薬の効果
釉薬は、素焼きで強度が低く、水漏れを起こしてしまう陶芸作品に、強度を与えます。また、親水性の粘土の表面をガラス質でコーティングすることで、水漏れを防止する役割があります。含有成分の化学変化で起こる発色が、陶器作品の風景を造りだすことで、陶器の産地や陶器作家の作風を決定するといえる重要な働きがあります。
新人の陶器作家は、作品の造形と共に自分の作風を造りだす、釉薬のレシピ開発に力を注ぎ込みます。釉薬の効果は、作品の強度や水漏れの防止などの実用的な面と、作品の芸術性を決定する、非常に重要な効果を併せ持っていると言えます。
釉薬の使い方
出典:写真AC
釉薬の使い方は、作家の作風によって異なります。器の内面にしっかりと釉薬をのせて実用性を確保します。水漏れや作品の強度対策として、施釉(せゆう)した後に芸術性を求めて、施釉を行うことが一般的に行われています。
器の外部の高台(器の底部、食卓に接する部分)の部分は、意図的に素焼きの状態を残すことで、作品の風景にアクセントをつけているものも多く見受けられます。藁や落ち葉、薪を窯入れの際に作品に付けることで、自然発生する自然釉の効果を狙った作品も存在します。
釉薬の手に入れ方
陶芸の材料として欠かすことができない釉薬ですが、現在はネットショップなどで購入することができ、比較的簡単に手に入ります。釉薬のウェブ販売サイト内では焼成温度や雰囲気、釉掛厚や目安水量など事細かに釉薬使用のポイントが説明されています。
一般的な釉薬では物足りないと感じている方は、身の回りの様々な物質を釉薬に転化させてみることを考えてみましょう。例えば貝殻はカルシウムの塊ですから、細かく砕いて混ぜると自然釉の風合いが期待できます。
釉薬で自分好みの色合いを
出典:写真AC
陶器作品の魅力は造形の素晴らしさと共に、釉薬が造りだす風景にも大きな魅力があります。好みの作風は人それぞれですが、素朴なものから繊細なものまで自分好みの作風は必ず存在します。
作品の造形と共に使用されている釉薬の世界に足を踏み込むと、陶芸作品を見る目が変わってくることは間違いありません。また、陶芸にチャレンジしている方にとっても作品制作以上に魅力的なのは、釉薬の織り成す未知なる世界かもしれません。
ぜひ試してみてください!