【陶芸品に欠かせない釉薬】強度を増して、芸術性も上げる「釉薬」の魅力

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国内に様々な種類の陶器がありますが、共通しているのは陶器の原料が粘土であるという点です。粘土の質の違いは存在しますが、天日干しをして素焼きを行った状態は、どの陶器も変わりありません。

産地による陶器の違いや、陶器作家の作風に大きく影響を及ぼすのが、釉薬(ゆうやく・うわぐすり)と呼ばれるものです。この釉薬のレシピや使い方で、陶芸作品の特性が決定されると言えます。

釉薬の歴史


出典:写真AC

国内における陶器の歴史は、縄文土器から始まったと考えられています。今から約12,000年前の縄文時代には、窯などを使用しない素朴な原始的製法が用いられていたと考えられ、低温で焼かれていたと考えられます。その後、奈良時代になると釉薬の原型が現れます。

釉薬の原型は、窯の燃料として使用された薪の灰が、陶芸作品に偶然付着して化学変化を起こすことで発見されました。

自然釉に着目した作家が意識的に灰を使用するようになります。人為的に釉薬を造る技術が、中国から唐三彩と呼ばれるものが伝わり、釉薬が広がりました。

唐三彩の技術は、遠くヨーロッパまで伝わり、イタリアにも定着しました。国内では鎌倉時代に、現在の瀬戸焼のルーツとなる、古瀬戸の製法に用いられたのが最初とされています。

釉薬の原料


出典:写真AC

釉薬の原料は長石、石灰、珪石、灰類、酸化銅、酸化鉄などが原料となります。これらの原材料を、素焼きした陶器作品に付着させ本焼きすると、窯の中で化学変化を起こし以下の働きを起こします。

・石灰:釉薬を溶かす働き

・長石:溶けた釉薬を素焼きの作品に定着させる働き

・長石、珪石や灰類:ガラス質に変化し作品の強度や防水性を高める働き

釉薬には、”溶かす働き”、”定着させる働き”、”ガラス質”の3つの要素が求められると言えます。陶器作品の原料となる粘土には、粘土質、長石、珪石が含まれています。粘土と灰類をませることで、最も素朴な釉薬を作ることができます。

釉薬の成分は、陶器作品の粘土質と近い成分構成のものが良いです。これは成分構成が離れすぎると、化学変化した陶器作品の粘土の成分と、釉薬の成分が上手く一体化せず、釉薬の乗りが悪くなることがあるからです。陶芸作品との相性も、釉薬の原料には求められます。

釉薬の種類


出典:写真AC

陶芸作品の作風に大きく影響を及ぼす釉薬は、何種類かあります。原料の配合により、作品の出来上がりに影響があるので、作家や工房では日々研究されています。

透明釉

主にガラス質で無色の仕上がりになります。作品の素材とよく馴染み定着する必要があります。

銅系釉

酸化銅が青緑色に変色することを利用した釉薬です。開発者の名が付けられた織部釉が有名です。

鉄系釉

独特な風合いを発生させるのが鉄系の釉薬です。鉄製分の含有量や釜の温度によって発色が異なります。飴釉や天目釉、黄瀬戸釉、蕎麦釉など種類の多さも注目されます。

コバルト釉

濃厚な青を発色させるのがコバルト釉です。海鼠釉と瑠璃釉が有名です。 これらの釉薬以外にも藁や落ち葉、薪などを陶芸作品に付けて窯入れを行い、自然釉の風景を楽しむ作品も存在します。

次のページでは、釉薬の効果を紹介します。

普通はこりごり!本物の技術・窯で学ぶ 陶芸体験

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