「あの人は、公明正大な人だ」「その裁決は、公明正大だ」など、ざっくりいえば「正しい」という意味で何気なく用いられている「公明正大」という言葉ですが、正確にはどのような意味があるのでしょうか?
公明正大の意味
「公明正大」は、「公明」と「正大」という二つの熟語からなる熟語です。 「公明」とは「公平で、不正や隠しだてがないこと」。
「公」という字は「おおやけ」とも読み、「広く世間一般」を指します。
公明とは「広く世間一般に対して、明らかにオープンにされている」という意味なのです。
一方「正大」は態度や行動が正しく、堂々としていること。正しく、かつ自信をもって大きな構えでいることです。
公明正大の由来
出典:ぱくたそ
前述したように、「公明」と「正大」という二つの語から慣用的に成立した四字熟語です。ちなみに、このような成り立ちであるため、ときどき見かける「公正明大」という言葉は誤用となります。辞書にも載っていません。
「公正」といえば「公平で偏っていないこと」を示すれっきとした熟語ですが、「明大」とすると「明治大学の略称」となってしまいます。気をつけましょう。
同様に「公明盛大」「高明正大」「高名正大」などと書いても誤りになります。間違われやすい単語ですが、「公明正大」が正しい表記となります。
ここで、語源についてもうひとつ深く掘り下げてみましょう。 「公」という字のもとは「大宅(おおやけ)」つまり「大きな家」を表わします。
家族や集落といった小さな単位で住む「小さな家」に対して、大きな単位である「皇居」「天皇」「朝廷」さらには「政府」「官庁」そして「公共機関」を表わす意味に転じた語が「公」なのです。
公明正大の例文
出典:ぱくたそ
「公明正大」はどんな場面で使えるのか?用例を紹介致します。
上記のように「公」という字が「政府」「官庁」そして「公共機関」を表わすことから、「公明正大」という言葉は、公的機関の正式な文書などでも広く用いられています。
使い方の例としては「その裁判の判決は、公明正大だ」。
裁判というのは基本的に傍聴席を設けてオープンな環境で行なわれることが定められている営為であり、被告人の人生を左右しかねない重要な場面ですから、「公明正大」でなくては困りますね。
樋口一葉の『この子』という作品の中でも、次のように使われています。
「此裁判の判決次第で生死の分け目に成りますなどと言つて、原告だの被告だのといふ人が頼み込んで來たも多くあつたれど、それを私が一切受附けなかつたは、山口昇といふ裁判官の妻として、公明正大に断わつたのでは無く、……」
司法を受け持つ裁判のみならず、立法、行政、いずれの立場でも「公明正大」な決議を出してほしいものです。