「先日はこちらの仕事を助けていただきましたから、今回はこちらがサポートいたしますね。魚心あれば水心、と言いますから」このような言い回しの文章を聞いたことはありませんか。
もしくは、「その方の活躍、大いに期待しておるぞ」「有難き幸せ」「魚心あれば水心、と言うてな……」「心得てございます。山吹色の菓子を……ささ……」「ふふふ……おぬしも悪よのう……」といったやり取りを聞いたことはないでしょうか。
「魚心あれば水心」わかっているようでわかりにくいことわざですね。しかしこの際ですので、正しい意味・使い方を覚えてしまいましょう!
「魚心あれば水心」の意味
出典:ぱくたそ
「魚心あれば水心」の意味を見てみましょう。
このことわざは、相手の対応によってこちらの対応も違ってくることを意味しています。わかりやすく言えば、「相手が好意をもって接してくれたら、こちらも相手のことを大切に思うようになる」という意味です。
お互いに相手を気遣いあう、良好な人間関係をあらわしていると言えます。
ところが近頃では、「先にそちらが誠意を見せてくれればこちらもそれなりの対応をする」といった、ストレートに言えば「ギブアンドテイク」であったり、暗黙の了解や慣れ合いのような、ちょっと悪い意味でつかわれることも増えています。
どちらの意味が正しいのか気になることと思いますので、まずは「魚心あれば水心」という言葉の由来を見てみましょう。
「魚心あれば水心」の由来
出典:ぱくたそ
そもそも「魚心あれば水心」の「魚心」「水心」とはいったい何でしょうか?
これはそのまま「魚の心」「水の心」です。水に棲む魚がそこの水に好意を持つと、水もその魚に対して好意を持ち、棲みよい環境になったといいます。このことから、本来は、「魚、心あれば、水、心あり」でした。
しかしこれが後々、「魚心」「水心」と省略されてしまったため、わかり難いことわざになってしまいました。
「魚心あれば水心」の例文
それではどんな場面で使うことができるのでしょうか?現在では日常会話よりも、ビジネスシーンで使うことが多く感じられます。
・「相手が折れてきているのだからこちらも、もう少し譲歩しようじゃないか。魚心あれば水心というじゃないか」
・「取引先の部長が変わってからなんだか素っ気ないけれど、魚心あれば水心というからね、こちらから積極的に営業してコミュニケーションをとっていれば、先方の態度も良い方向に変わってくるはずだよ」
このように、前向きに両者の関係を捉えるようにして使うと良いでしょう。