日本文化を代表する伝統工芸「うるし」│歴史や英語での言い方も紹介

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私達の毎日の生活の中では様々な文化や習慣が根づいていますが、ひとつひとつに触れてみると、案外知らないことばかりなのかもしれません。

日本人である私達が海外からも評価が高い日本の文化について知らないことは、非常に勿体ないことです。 そんな中で今回は、日本文化に深く関わるアイテムとして 「うるし」にスポットをあて、詳しくご紹介します。

うるしとは?

「うるし」とは、いったいなんでしょうか?

「うるし」は日本の伝統工芸品などには、欠かせない重要なパーツなのです。 例えば「うるし」を使った代表的なものとして「漆器」があります。 漆し塗りの食器や花器など、日常品でよく使われてきました。

日本では、古くから「うるし」が重宝されてきたのです。

「うるし」を使うことによって壊れにくくなり、長持ちすることが特徴です。 「うるし」の役割としては、塗料として、そして接着剤としても利用されます。 「うるし」の素となるのは、 ウルシ科のウルシノキやブラックツリーなどの樹木となります。

それらの樹木から採取した樹液を加工した、 ウルシオールを主成分とする天然樹脂塗料となります。 主成分は漆樹によって異なり以下のようなものがあります。

◇日本・中国産漆樹 ウルシオール (urushiol)
◇台湾・ベトナム産漆樹 ラッコール (laccol)
◇タイ・ミャンマー産漆樹 チチオール (thitsiol)

うるしの歴史

「うるし」の歴史を辿ってみましょう。 日本では「うるし」を古来より利用しており、その歴史はかなり深く、縄文時代にまで遡ります。

縄文時代に作られ、日常で使用されていた土器や木製品、クシや装身具などの日用品などの接着や装飾に使われていたものが出土しています。 現存する最古の漆塗りとされているのは、約9000年前に作られたもので、北海道函館市の垣ノ島遺跡の調査で出土したものです。

古墳時代には、棺を漆で塗装した漆棺も確認されています。 その後、奈良時代となると貴族階級が用いる貴重品としての 漆器が登場し、より良質な漆液を用い手間暇かけて作られたのです。

平安時代になると宮廷内での漆器の使用が日常化されます。 鎌倉、室町時代になると、漆塗りの新技法が編み出され、数々の作品が生み出されます。

江戸時代ともなると日用品として庶民の間にも広がりました。 その後、近代になり大正、昭和時代ともなると、皇室が海外の国賓の土産物として漆器を用いるようになりました。 このように歴史的にも、かなり昔から使われてきた「うるし」は、現在でも変わらず我々の生活に根づいています。

うるしを使用した伝統工芸品

 「うるし」を使った伝統工芸品も数多く存在します。 各地方によっても様々な種類が存在します。

その一部を紹介致します。

・会津塗(あいづぬり)福島県
・川連漆器(かわつらしっき)秋田県
・浄法寺塗(じょうほうじぬり)岩手県
・津軽塗(つがるぬり)青森県
・鳴子漆器(なるこしっき)宮城県
・秀衡塗(ひでひらぬり)岩手県
・木曽漆器(きそしっき)長野県
・越前漆器(えちぜんしっき)福井県
・金沢漆器(かなざわしっき)石川県
・高岡漆器(たかおかしっき)富山県
・山中漆器(やまなかしっき)石川県
・若狭塗(わかさぬり)福井県
・輪島塗(わじまぬり)石川県
・小田原漆器(おだわらしっき)神奈川県

小田原漆器が作れる、うるしぬり漆塗り体験

英語ではうるしのことをjapanと呼ぶ

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